困ったなぁ。
他の人を出し抜いて、あの餅肌からさっさと金庫の場所と鍵番聞き出して、独り占めしようと思ってたのに…。
とんだ誤算だわ。こんなおかしなカラクリ、屋敷の中に仕込んでいたなんて。
[誰も居ない、一人きりの部屋で小さく舌打ちを*した*]
痛い所は、肝心の餅肌と離れ離れになったことよね。
このままだと、最上階に有る金庫の中身、他のひとに先越されちゃうじゃない。
[思い通りに物事が運ばない苛立ちで、きりきりと唇をかんだ。]
[手元に残された毛糸の玉。
誰かがかぎ針を見つけたのなら、引っ張られることにより、それが合図となるだろう。]
あ、まんじゅう あかいな あおいへやの方が良かったかしら?
まぁ、いいわ。
正直あの餅肌の財産ってどれ位あるか判んないけど、他の人たちに抜け駆けなんてさせないんだからっ。
[壁の向こうから聞こえてきた声に、指折り数えて人数配分をする]
私ともうひとりのひとが、ひとり部屋に閉じ込められているのが確定。
他の二人とあの餅肌は一緒に居るのかしら?
それともみんなバラバラのひとりの部屋?
[考えても纏まらない。
ただ、時間だけが過ぎていく。]
んもう! 自分から金が欲しいかそれやるぞって声を掛けておきながら、こんな仕打ちって許せないっ!
あの餅肌、何とかして懲らしめてやらないと…。
[少し嗄れた喉をさすりながら、モミジは壁に通した毛糸とはまた違う色の玉をひとつ取り出し、なにやら*工作し始めた*]