普段と同じ村。普段と同じ平和。
全てが普段と同じように見える世界。
だが「何か」は確実に芽生え、育ちつつあった。
「……信じられない」
若い娘であるアンだけがそれを察し、しかし誰かに話す事もなく、一人密かに探っていく。
その「何か」も、やはり、密かに――**
手動開始したため、自動更新がおよそ24h後になっています。
更新してもいいというタイミングで各自コミットして頂ければと思います。
翌日。儀式が近付いてきていた、その日。
村に突然の凶報が齎された。
朝方、村人の一人がアンが死んでいるのを発見したのだった。
時たま出る事がある獣に屠られたものとは違う、死体の有り様。人間が作り出したものだという確信が抱ける、無残な死体。
絶対的な禁忌である、「理由」のない殺人。
その死体は弔われ喰らわれるために運ばれて――
それは調理が終わるか終わらないかの頃だろうか。数人の村人が村長に呼び出され、集会所の一室に集められるだろう。
村長は幾つかの事を彼らに言うだろう。
一つは、この中に犯人がいる可能性が高いという事。一つは、疑わしきを殺す行為は、「理由」がある殺人として認められるだろうと、望まれた行為だろうと、神に仕える者が託宣を伝えたという事。
「疑わしきを捜し、殺せ」
村長は暗にそう命じたのだった。
それから、容疑者達は集会所から解放されただろう。
それぞれが疑われた理由は説明されなかったが、心当たりがある者もいたかもしれない。
殺し、殺され、喰らい、喰らわれて――
最後に残るのは、一体何だろうか。**
(2d最初に投下する予定だったものですが、更新時間によってすぐに落とせない可能性があるので、早めに投下させて頂きます。更新後はそんな感じで村長に呼び出される事になります。)