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ひとつ曲がり角〜 ひとつ間違えて〜
[軽快な歌声を車内に響かせながら、
握るハンドルを右に切る。
カッチ カッチ
方向指示器の音がリズムを奏でる。]
迷い道く〜ねくね〜
はー、やっと着いた。
誰よ、「子どもでも解る地図だから」って書いたの。
子どもの描いた地図以下じゃないのよ…。
[エアコンを効かせた車内から降りた手には、
よれた紙切れが一枚。]
ところで。
この肝心な盆踊り会場って、一体どこよ。
[そして途方にくれた眼差しが一対。]
[長閑な田舎の一本道。
途中、悪態を吐く勤労学生(なのかは定かではない)を
過ごしてきたことなど知りはしない。]
あっつー…
[手入れが施された指先は、懐から扇子をつまみ出し涼を扇ぐ。
足許爪先に施された金魚の絵が、
ぱしゃんと音を立てて跳ねた。]
[夏の暑さはじりじりと身を焦がすよう。
ぱしゃりと、ふたたび足許で金魚が跳ねる。
緑の水草に、青い水の中に、優雅に泳ぐ赤い金魚。
特殊な溶液と紫外線とで押し固めた、
べっこう飴のような世界は。
夏の暑さなどでは溶けはしない。]
あっつ…
しかし一体こんなところに呼び出して…
[懐に仕舞っておいた封書を取り出し眺める]
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