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[赤い涙を流す者たちが徘徊する只中に
取り残されたノギ駐在員とアン嬢――
従姉たる美津保嬢を探して視界ジャックを
繰り返すうち、少年の心を揺らした光景。
ひとり隠れるか。危険を冒して助けるか。
葛藤の末、
少年が選んだ道は――――後者だった。]
[取りに戻ったもうひとつの忘れ物を手に、
少年は裏路地へ向かいそっと身を潜める。
もうひとつの忘れ物(たからもの)は…
美津保嬢の弟、従兄のカズキから貰った
一束のロケット花火。数本を土に挿す。
危険な中、慣れぬらしき視界ジャックを
辿々しく駆使して忍び歩くノギとアン。
彼らが逃げきるための陽動になればと、
少年が花火に火をつけようとしたとき、]
―回想・どこか―
[従姉は、赤い涙を拭って少年の前に現れる。
少年を燃やさない、と…
祟り神へ捧げないと言う。
まだあたたかく慕わしい半屍人の在りようが、
少年には悲しく恐ろしく――ほろりと涙が零れた。]
いやだよ
…廻り続けるなんて、いやだ
…おねえちゃあん…
[くるくる 従姉が触れた地球儀が、*まわる*。]
―教誨所近くの茂み―
[辺りは暗い。鈴虫が鳴いている。
意識を失った後で茂みに引きずり込まれたらしき
見知らぬサラリーマン風の男――ズイハラ氏の傍、
足のない少年の幽霊が立ち、見下ろして*いる*。]
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