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[月がひとつになっていたことにも気がつかずに
火を見ていると、エビコの声がする。
振り向けば、そこにグンジの姿は無く]
ああ、くそ、やっぱり無理やりにでも
眼鏡をつけてやりゃあよかったんだ。
[しかし、そういう言葉と裏腹に、
視界は妙に明るくなっていて、
憑き物が落ちたような気分だった]
[よく見えるようになった目を凝らせば、
そのうち、明かりをつけた舟が
こちらに来るのが見えた*]
ああ、やっぱりここにいたんだ。
[ひょっこりと現れて]
なんだかいまだに、ここにくると
どっかからみんな、出てそうだな。
現実味が沸かないね。
[そういいながら、消えた皆の顔を思い出すも朧げで。
最後のときに、講師の男が言った「忘れるのが怖い」
その言葉をぼんやり思い出していた]
忘れるのは怖い…無くしてくのは怖いねえ。
でも、月が沈んでも太陽が出る。
今日も、多分、明日も俺はいるし、暮らしてくんだ。
[柱に近づいてついている傷を撫ぜ]
こうやって残せば、薄れても消えない。
そうやって、増やしていけば良い。
[同じようなことを考えてたのかな、と笑い]
いそうだよね。
あの人みたいに見えなくて、よかった。
見えていていたら、先に進めないし。
いなかったら、寂しいもの。
記憶まで一緒に消えなくて良かったな。
あれだけの人の最後は、ちょっと重たいけど。
確かにそこにいて。それがきちんと残ってる。
花火。最近ようやく良さがわかってきたよ。
[もう月が視界に入っても、狂気は現れなくなっていた]
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