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[弦の上に弓を滑らせる。
音が響く、連なる]
…………。
[手が止まれば、音も止まる。
譜面台を見る。
連なる音符が、今にも動き出しそうに見えた]
……ぁー…………もぅ。
あっついんだよ、この部屋!
[西日の射し込む音楽室。
ロケーション的には悪くない、絵にはなるだろう。
だけど]
こんな暑い中、自主練とかやってらんな……!
そうでなくたって、今日はお祭りなんだし、もう帰ろー!
[一緒に練習していた部活仲間に訴えたら、向こうもお祭りに行きたかったらしい。
また明日ね、と言う事で、話はついた]
ん、じゃーね、また明日ー!
[部屋を片付け、戸締りをして。
ディパックを背に、腕にバイオリンケースを抱えて急ぎ足。
家に帰る時間も惜しくて、祭り会場へ向けて直行した。**]
[ぱたぱたと駆けて行く。
一度帰って浴衣に着替えてくる、とかすれば、可愛げの一つも出るのだろうけど、そんな風には頭は回らない。
今、頭にあるのは、祭りの空気に触れたいっていう、それだけで]
……あ。
[急ぎ駆けていた歩みがふっと止まる。
理由は、何気に見上げた空にかかる雲のせい]
なんだっけ、あれ……。
[祖父だか祖母だかが言っていた名前は、確か]
……きつねぐも?
[浮かんだそれを復唱する頃には、祭りはもう目の前。
意識はすぐに、空のくもからそちらへに向かう]
[祭りに向かう人の群れの中、一瞬だけ、荷物を持ったまま来た事を後悔したけど]
今から引き返すのもなあ……。
[そんな思いがあるから、そのまま、屋台の並ぶ通りに飛び込んで]
えーっと、ラムネ屋さんはー……。
[最初に探すのは、祭りの時の個人的定番]
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