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―根木弥神社・境内―
[秋祭りの祭事の準備を行う神社の跡取りは、元よりふくよかな体系ではあるが、知る者が見れば去年の同じ日よりもいくばか痩せたことが見て取れるかもしれない]
もう一年になるのだな……。
[昨年の祭りでの村の行く末を占う儀式では
スグル牧場の一年の安泰が結果として出て村人達を大いに安心させたものだっただろう。
――杏奈が姿を消したのは儀式が終わり一安心したしばらく後の、虫の声が一瞬なくなったかと思ったふいの事であった]
かみかくし―――か。
アンよ、居なくなる前にお前は言っていたね、「なんだか虫が騒がしいね。今夜は誰かが連れて行かれるかもしれない」と。
――虫達よ、そして祭神よ、怒っておられるのだろうか。なればこそかくされてしまわれたのだろうか。しかし何ゆえに…
[「かみかくし」。いつから囁かれる噂か。
行方不明を探すビラを撒いたりもしたものだが、行方不明を素直に「かみかくし」と認識するは居なくなる前の従兄妹のあの言葉故に。
餅肌として襲名したものの、幼名を櫛次とするこの跡取りは神域を見る程の霊力を宿しては居ない。「かみかくし」ならば、居なくなった杏奈程の霊力あれば視えるものであろうが居なくなったのはその当人]
…アンや、かみさまたちには親切にしていただいているかい?
[問うても聞こえるはこの季節に響く虫の音だけ。アンの霊力の質と自らの霊力の質は、向き不向きがあるように少しばかり違うものである]
[村の行く末を占う儀式はこの当代の餅肌には向いている質の儀式であっただろう。杏奈への不安は続いていようとも]
……どれ、今年の占いの儀式は村の者の家庭の運気について出るよう強く願って執り行ってみようか。
[「かみかくし」がささやかれているからこそ、もし安泰の結果が出たのならば村の者は安心するであろう。それに、村にはかみかくしとは別に様々な事情で家族と離れ離れになっている少女も居ると耳に挟むこともある――家庭事を占うのには向く年であろう]
……ラムネを一本いただけるかな。
[>>8そして柳樂商店の出店にて、青年に声をかける。
――彼が言いかけた言葉は、丁度神事への思考のタイミングと重なっていた為、聞き取る事がなかったままだ]
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