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……いや。
なーんとなく、そんな気はしてたけど、やっぱ菊子ちゃん狐か!
つか、飛鳥さんに会えなかったわー。
そして、俺の方の襲撃が通ってても、一人墓下だった件。
で、本日デフォは瑞原さん、とー。
[ふざけたような返しに、く、微かに笑む響きを乗せて]
まあ、それはそれでよし、として。
兎の『仕事』も、やらんと、だよなぁ……。
[さっき抜けたような力は、いつの間にか気配が感じられるから。
あまり乗り気のしない声で、ぽつり、こう言った]
これが気乗りするとか、どんだけMだよ。
[はあ、と大げさなため息をつきながら言って]
ああ、どーも、制御が利かない感じなんだよなぁ。
的確に狙えなかったら、意味ねー気もすんだけど……そこまで求めるのも、どーよ、って感じだし。
[言いながら、力へと意識を向ける。
先ほどと同じく、力はするりと抜け出すような感触を残して、どこかへと飛んだ]
そこまで突き抜けたらそーかも知れんけどっていうか、お前まさか……。
[どん引くような気配をのせて返す。
からかい半分なのは、口調で十分悟れるだろうが]
……ん?
確かに、さっきとは……。
[飛ばした後の感触は、先とは違うもの。
その事と、伝わってきたイメージ──力が飛んだ先の姿が、困惑をもたらした]
あれ……今、飛んだのって、菊子ちゃん……か?
……おう、そうか。
ここである、っつわれたら、縁切りしてたぜ。
[なんて、軽口を重ねつつ]
ああ、鬼龍院菊子ちゃん。
しかし、なんでなんだろ……な。
確かに、届いてたと思うんだけど……。
─ 海岸神社 ─
……ったく……。
[不意に上がったのは、ぼやくような声。
ふるり、と頭を振ると、ほろ、と煙草の先から灰が落ちる]
いや、確かに、10年前にあった一番の大事って、アレだけどよ。
[それが関わりあるとは認めたくない。
そんな思いが言わせた言葉は、やっぱり不機嫌な響きを帯びていた]
……お前に泣かれてもなあ。
[ぼそっと呟く。
軽口の投げ合いは、そこだけ妙に日常的なもの]
ん、ああ。
まあ、色々あるんじゃね?
[家の事情までは知らぬから、そこはさらりと切り上げておいて]
なんつーか、力負けして消された、って感じだったよーな気がする。
……あの子も、兎になんかされたのかな……。
[思い返しながら、推測を述べて。
殴りたい、という一言にはだな、と思いっきり同意しておいた]
大体、アレが関わってるとして。
俺がその、何を忘れてるってんだよ。
[それがわからないから、不機嫌さは増す]
そも、忘れるような事、ねーはず……だし。
[ない。
ないはずだ、と。
紡ぐ言葉は、どこか自分に言い聞かせるよう]
…………。
[しばし、神社を睨むように見て。
それから、もう一度、ふる、と首を横に振る]
……ここにいても、仕方ねぇ、かな。
[振り切るように呟いて、石段を降りてゆく。
目指すのは、当初の目的地である駅前広場。**]
俺は、愛の安売りはしないのー。
[笑う声には笑って返す。
こうして交わす軽口が、神社で感じた苛立ちを多少なリとも鎮めてくれていた]
ん、それがいいかも。
……そーいやあの子、ここに引き込まれた後、しばらく具合悪そうだったんだよな……そこらもなんか、関わりあるかも知れん。
[引き込まれた後の状態も告げておく。
状況的に、個人差もでそうな所だが、それが異変に関わる、とは思っていなかったのだが]
行く先……帰る、って言ってたから……ああ、風音荘に下宿してるらしいから、そっちで会えるんじゃないか?
でなきゃ、駅前広場……さっき、海近くで集まってた連中で、後で広場で、って話しになってたから。
[行く先を問われると、先の話を思い出してこう告げた。**]
[草の生える石段をゆっくりと降りていく。
その時、あれこれと考え事に耽っていたから──それに気づくのは、一瞬、遅れた]
……っ!?
[息を切らして駆け上がってくる少年。
誰か、は見た瞬間にわかって、歩みが止まる。
立ち止まった自分をすり抜けて、少年は神社の境内へと駆け上がって行った]
いや、ま。
可能性は、考えてなかった……とは、言わんけど。
[くるり、今降りてきた境内を振り返る。
スケブを抱えた少年──『10年前の自分』の姿は、もう見えない]
実際に見るとなんつーか……。
[なんとも言い難いものを感じて、ひとつ、息を吐く。
この時代の自分。
話ができるなら、もしかしたら『ワスレモノ』が何か、知る事ができるかもしれない──とは、思えども]
……他に、なんかあるかも知れねぇし。
[ぽつり、と零れた呟きは言い訳めいた響きを帯びて。
ふる、と頭を一度横に振ると、石段を降りて歩き出した。**]
[軽口にけらけらと、笑っていられたのは、そのすれ違いの前後まで。
聞き返す声に、無意識に呟きを落としていた事に気づいて。
なんでも、と一度は言いかけたものの]
あー……いや、ちょっとな。
やっぱ、10年前の自分見る、ってのは。
びみょーだな、って。
そう、思っただけ。
[何となく、黙っていても、という思いから、ぽそり、とこう返した]
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