[さらさら、水の流れる音だけが聞こえる川辺。
堤防沿いの道から降りてきた少女は、周囲を見回すと安堵の表情を浮かべた]
……やっぱり。
この時間なら人居ないと思ってたんだ。
[平日ならば通勤通学などで一定数の通行があるが、休日はそうでもない。
特に今の時期は耳を擽る涼やかな音とは対照的な日差しを避けたい人も多いだろう]
近くにおうちも無いし、散歩する人とかはもっと朝とか夕方とか涼しい時間選ぶだろし。
此処なら声張り上げても大丈夫だよね。
ま、もし怒られたら声出し控えて走り込みに切り替えればいっか。
[言いつつ目星をつけていたらしい木陰に荷物を置いて陣取り。
軽くため息をついた後にストレッチを始め]
ってか熱中症とか怖いから本当はカラオケ行きたいとこだけど、もう今月お小遣いやばいしなぁ。
なんでうちの学校日曜は生徒入れてくんないんだろ…ってか皆自主練どうしてんだろ。
[なんてぼやきを交えながらも準備運動を終え、発声練習に入った**]
あ、あ、あー、あー。
[堤防を降りた川辺は人影は無いが、遠くに子供の遊ぶ声や車の走る音などが聞こえてくるから一人でもそれ程寂しくはない。
だが、すぐ木陰に入ったから強い日差しを直接受けることは無いが暑いことには変わりなく。
凍らせてきたペットボトルのお茶を飲んで適度に水分補給兼休憩をしながら、音程と抑揚を付けた発声を繰り返していたのだが]
…ん?
[ふと、誰かの声が聞こえた様な気がして、練習を止めて周囲を見回した]
[その目に飛び込んできたのは、今まで見えていたそれと似たようで全く異なる水辺の煌きで]
…え……、は、あ、え?
何これ、海?なんで?
[唐突な変化に困惑した声をあげ、瞬きを繰り返すと数回程で景色は戻り]
…………あれ…?
気のせい?…でも、確かに…
[気のせいにしては、今さっき見た光景はリアルだった様に思えて困惑は引き続いたまま、だったが]
……長居過ぎちゃった、かなぁ…?
[木陰の下とはいえ、炎天下に居続けたせいで幻覚でも見えたのだろうか。
そんなことを考えて、そろそろ引き上げた方が良いかもしれないと思いつつもまだ川辺の揺らめきから目を離せずにいた**]
[暫く水面から目を外せないままでいたが、さっき見えた景色が再び現れることはなかった]
…やっぱ、気のせい?
それか蜃気楼だったのかな。
…うん、そうかも。
こっから海ってそう遠くないし。
[蜃気楼がどうして見えるのかは良く知らないけれど、幻覚よりは若干心証が良く思えて。
無意識に自分を納得させようと思考を声に出しながら、此処から一番近い海のことを思い浮かべた。
自転車で三十分位の距離だから、子供の頃は良く行っていたけれど何時の間にか行かなくなって。
友達に誘われても断るようになったのは何時からだったか]
…そういえば、どうして行かなくなったんだっけ。
[思い出せないな、と小さく呟いた声は思いのほか大きかった**]
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小さく呟いた”つもり”が抜けていたよ…
まぁニュアンスできっと解ってくれるだろう、うん。
ってか入ってからこっちソロールしかしてなくてすいません。
まぁ同じ町に住んでないかもって所で許してくだされ。
そして役職どうしようなぁ。
想いの方向性で役職決めた方がいいだろうとは思ってるんだけど。
「夏の海」に決めたは決めたんだけど、どんな想い抱えてるのかまだ固まらないんだよね…
叶わなかった初恋とかそんな感じで行こうかとは思ってるんだけどなんか決め手に欠ける。
/*
うん、鬼にしよう。
叶わなかった初恋で押し込めた人を好きになる気持ちを取り戻したい、でもあのときの辛い気持ちを思い出したくない。しまっておきたい。
そんな感じの方向で行こう。
役職取れなかったらそのときはそのときでまた考えればいいや。