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… 聴こえたかね?
[村の柵を挟んで、群れへと狼遣いを呼ばわった
マティアスの言についてか…ふと他方へ声が上る。
…狼遣いを殺したことがある、と耳には届いた。]
そんなこともあるさ、とは言ってやるも妙だな。
…………
[キィ…―――聴こえるやんでいた筈の狼の遠吠えに、前髪に隠れる眉を顰め車椅子は止まる。声のした方へ顔を向けて、冷えた手が膝掛けのない足を摩る]
また…―――
見つけるまで待ってくれるはずもないか。
いくつか、伝えておくか。
件の白髪頭――
ビャルネは、あたしが狼遣いではないと
イェンニに言ったそうだよ。確かめるが。
此方のことを知っているのか知らないのか、
かまをかけてるのか詳しいことはわからんが…
まあ、嘘を武器にするつもりらしいのはわかった。
[トゥーリッキが去った後の部屋。
包帯を巻く手は器用なもの。
包帯の端を口にくわえ、右手で抑えた点からくいと引けば完成。
服を着てしまえば見えない位置しか切らない。
ふ、と止める手。けれどすぐゆるりと首を振る。]
――"狼使い"なら、んなこともないか。
[血の香は消せないから、狼の鼻を一瞬思えど気にせず。
赤が好きだと言った女が香までスキかどうかも知らない。
とさり、と椅子ではなく床に座り、壁もたれて目を閉じた。
トゥーリッキと部屋で交わした会話には曖昧に笑っただけ。]
ドロテアを、見捨てたんだ――……
躊躇うわけにはいかない。
[彼女に言葉として一言も返さなかったもの。
静まり返った自室での、ただの独り言。
それはのしかかる罪悪感と義務感と――。]
――かなわねぇな。
[見透かしてくる知己への感想を一つ。
言葉にしなければ躊躇ってしまいそうだから。
したとて、変わりはしないのかもしれない。]
供儀 ドロテアは、ここまで読んだ。[栞]
[拗ねる"順番"へはやはり当人へは答え返さぬまま。]
前提が、違う――困るやつと、嫌なヤツの。
[狼使いだったら、という仮定なら全員分した。
当人のいない場所で今度は拗ねるのは自分――。
彼女が置いていった毛布に手を伸ばし、引き寄せる。
"自責は何も生まない"
聞こえた遠吠えに、告げた男を思い出す――
左腕の鈍い痛みを感じながら暫し*意識を落として*]
みんなに報せるのかな。
[知れ渡れば危険だと指摘した先の内容を、長老がどうする気かは定かでない。信じろとも信じるなとも添えず、アルマウェルへ宅した願いに籠めた想いは語らずも、呟きは重く沈む]
おおかみを煽動する者はふたり。
けど………人は…
[キィキィキィキィ…―――再び動き出した車椅子は、ヘイノの住まいの前で止まる。入り口を見て眼鏡の奥で眼差しを細め、ひとつ呼吸を置く]
…それから、長老さま宛てに
まじないの卦を伝えた者がいるらしい。
カウコが、文を覗き見た様子だった。
我々が、卦にかかったわけではないらしい。
[伏せるとも偽らぬカウコの気配から感じたこと。
卦でないものの担い手へは、いまは口にせず――
己が目にしたもののことのみを掻い摘んで語る。]
あたしもひとゆえに、想うことは多いが。
いかなるいきものと意を繋ぎ従わせようとも、
長い旅の果て、ようやく逢えたお前へ。――…
たましい繋ぐお前へ、強いることは何もない。
[こぽり…
液体のなかを気泡が昇る如き音が混じる。]
…今宵、お前の喉が愉悦と共にうるおうを願う*。
/*
とかくわかりにくいことに定評がある赤意訳。
・マティアスの挑発、乗る?
・狂信者にときめくたすけて
・真占は白出しで出てるみたいだよ
・守護情報は曖昧にしとくよごめん
・いろいろ言ったけど好きなとこ襲ってね!
・GJよりは喰いログ見せてほしいなあとおねだり
・ヒュヴァ・ヨウルア!(メリークリスマス!)
こんな感じです
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