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[むくっと起き上がり、声の主をマジマジと見遣る]
んな慌ててどうした?
美人が台なしだな。
[にやついた笑みを隠そうともせず、地べたにあぐらをかいて女を見上げた]
美しいまま潰れた。
[詩をそらんじるように平坦に言った。
緊張感のかけらもなく、あふ、とあくびを噛み殺して]
あんたの庭だったのか?
[酒を口にしようとして目についた、少女の置いていった瓶を手に取り蓋を外す。
親指で縁をなぞると、きゅーっという細い音が鳴った]
いい声だ。
[二三度振るい、水音に耳をすまして蓋を締めた]
ヤトイヌシ?
[いつの間にか何やら作業を始めていた女に顔を向ける]
[首筋に水滴が落ちた気がして無意識に拭う。
しかし、乾いていた]
オレが雇われてる?
庭師が花踏み荒らしてたら笑い話だな。
[刺と言われたことには首を振る]
大丈夫だ。
[散らばっていた数本の瓶を抱え込んで立ち上がって]
悪かった。
[独り言のように呟いた]
……オレは何してんだ?
[く、と口角が上がる。
声を出して笑いながら]
必要なのは酒だ。
[ふらりと*甘い香りから逃げ出した*]
たりねぇ。
[小瓶を逆さにし、その下で口を開ける。
一滴も零れない。瓶を投げやってため息を吐く]
あー……。
[意思なく震える手を見下ろし、背後の樫の木に身体を預けた。
地面に身体が沈み込みそうだった]
クソったれが。
[男は顔をくしゃりとしかめた]
[風向きが変わり、甘ったるい芳香が纏わり付く]
酒はまだか。
[頭の中で地図を思い描く。
庭園は果てしない]
どこだよここ。
それでも、ウェンの小瓶は手付かずだぜい。
夜が明けると中身に変化が。
この方式だと、明日占う相手いなさげ?
いきあたりばったりで適当。
仮想雫とか何も意味がない。
溶けたら濡れ鼠にでもなるかなー。
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