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知るカ。良い女に興味はネェナ。
[女の嘲笑が鼻に付き、素っ気無い言葉を返す。
ウィンクを向けられ顰めた眉は、帽子の下に隠れるか。
『情報屋でも』の言い方に内心イラつきもあったが、ほぼ休業中のわが身を思えば、それも拙く隠して。]
じゃあネーさんも、アッチのネーさんみたく、余所者を捻って行ってみるカイ?
[ゆるく視線を向ける地上、サーディの通った後には幾つもの動かぬモノが残される。]
ふぅン……?
苦手なくせニ、気配を消すノは上手いノナ?
[女らしさばかりの指先を眺め、先ほどの彼女の登場を思い出して問う。]
ジャ、そう言うネーさんは、一体何ガ得意なんダイ?
……坊や、ネェ?
[冗談には肩を竦めるだけ。
手を振る先に見える姿を、横目に確認しながら、この女も気配を探る事は出来ていると、先からのやり取りも含め内心警戒すべき人間に格上げて。]
こんなボロビルの上で仕事タァ、お気の毒ニ。
[別れの挨拶は同じように翻す、こちらは合皮の指ぬきグローブをはめた手。
視線を上げれば、白い羽ばたきが見えて。
それはまるで、もしかしたら正しくも、祭壇での儀式を待つ天の使いのようでもあった。
赤黒い曇天に映える、白。
ここからならば、声を張り上げれば届く程度の距離か、けれどそんな事をする理由も無く。
一つの荷物を抱え、半分瓦礫に埋まる階段を降りていく。]
……おうオゥ、こリャまた、ド派手な演出デ。
[爆発音が聞こえるのは、ビルから出る頃合か。
ざわめく群集の端、弾かれない程度の隙間に入り、悲鳴向く方へと視界を絞る視線を向ける。
暴動だ、だの、神がお怒りに、だの、どうでもいい叫びが使徒たちの合間に、波のように伝染していくのを眺め。]
巻き込まれナイ程度に見物したら帰るカ。
[布袋を肩に背負い、一つ息を吐く。]
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