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[姉の同僚たるウルスラと話しながら、ペッカは
ベルンハードをカウンター越しにちらと見遣る。
最前の会話には思うところあれど、呑み込んで]
…そう言や、ウルスラ姐もさっき
ドロテアに捕まってたンだっけか。
何にしても、腰落ち着けて話聴いてやらにゃ
収まンねェだろ、あんな様子じゃ――
[ドロテアの父ちゃんはどこ行ってンだかなァ。
そんな呟きには、素っ気なくも僅か案じる響き。]
あァ、其れ。
いーい琥珀色してンのに、やたら甘ぇんだよナ。
[宿の息子が勝手に飲む折は、悪友めく幼馴染みも
無論相伴に預かっているわけで…慣れた口を利く。]
あ?
お前ェはいつだってのんびりしてンじゃねえかよ。
[宿に残るペッカは、扉を出る幼馴染みを見送る。
エールを飲み干して既に空の杯は手にしたまま。]
呑気もンの癖に、気ィ回しやがる。
[同席するウルスラへ憚らずも、
半ば独り言めいてぽつと呟いた。
林檎酒を愉しむ彼女と目が合うと、
何でもないとばかりに僅か口を尖らせる。]
しかし人狼つーのが居たとして、
居たとして…どうすンだ?
[話題を戻す態で、ペッカは空の杯の縁を舐める。
行儀の悪さを咎める者は、この場にはなく――]
他所の土地へ追い遣っちまうか。
昔話みたく、叩き殺しちまうか。
捕まえて見世もンにでもするか。
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