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[私の事を考えて、
お婆さんがお手玉を作ろうとしてくれた…
それだけで、私は嬉しかった。
彼女にそう伝えるために
後で、会いに行こうと思ったけれど。
訳知り顔の少女に、手紙を託そうと。
『ボタンさんへ
ありがとう。
受け取ったわ。
クルミ』
短い手紙を、
日記帳から切り離した紙にしたためて。
少女に、渡した。]
冷たい眠りの底で見る夢
[息を引き取った肉体から溢れだした私は、
不安定な存在として
風に乗ってあちらこちらへ駆ける。
スカートの裾をひるがえしながら。
過去へも未来へも行ける、
圧倒的な自由を得て。
白い病室のベッドに座り、
少女とユウキ医師と話す一昨日の私の姿を
近い場所から見つめる事だって出来る。
不自由な私を見て哀れだと思う一方で、
自由すぎる今の私の軽薄さが胸に刺さり
少し、悲しくなる。]
[浮遊する私は、
少女の白いワンピースの胸元へ、
白と紫のアネモネを飾る。
ユウキ医師の白衣のポケットへは
赤いアネモネを差し入れて。
物理的な存在では無くなった
この花たちと私の姿は、
彼らにもベッドに座る私にさえ
見えないと解っていても。
明日の貴女を、明後日の貴方を、
私は抱き締めたりは出来ないから。
せめて。*]
[海の歌が聴こえる。
けれど此処にあるのは
それだけじゃなかった。
様々なもので満たされていた。
私が気付かなかっただけ。
不貞腐れて、見つけられなかっただけ。
お別れする前に
気付けて良かった。
然様なら。
さようなら。
愛しい世界。]
/*
今夜も、
そろそろまた沈まねばならないので
一足先に(?)成仏いたしました。
切なくて温かい素敵な村で、
ここで過ごせた最期のひとときは
とても幸せでした。
みなさんありがとう。
また来年?建つの楽しみ。楽しみ。
…と。先にご挨拶も。
壱猫でした。
/*
ボタンちゃんとは、
手にマニキュア塗ってあげて
一緒に歌ってみたりとか。
穏やかに一緒に遊んだんだと。
お手玉は、天国でまた会えたら。
きっときっと。
数え歌を一緒に歌いましょう。
/*
さてさて。
そろそろちゃんとおやすみします。
本当にありがとうございました!
またどこかで。
来世ででも。
お会いしましょう。**
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