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[どうにも落ち着かなくて、家の外へ出てみる。地面は乾いているのにどこからか微かに雨の匂いがする。雨は好きだった。なんとなく安心する。少なくとも夏の気が狂いそうな日差しよりは。]
アンちゃんか……。
[確か、彼女の家はこっちの方だったな……。記憶を頼りに足を向けてみる。]
[夜の風が雨の匂いと湿った空気を運んでくる。昼間の太陽の下奪われていた力が、ふつふつと満ちてくる。]
あははははぁー。
ようやく調子が出て来たなぁあー。
昼間は暑くていけないぜぇ。
さあて。
夜遅くまで悪さしてる子は誰かなぁー。
くくく。
[少しずつ深まっていく夜闇の中へそっと思念を広げていく。]
[気が抜けて座り込む少女を見ていると、何故か笑いがにじんでしまう。]
怖がりなのに、一人でこんなとこ歩いてるからだよ。
そうか。アンちゃんの家に行って来たんだ。
静かだったって。それって。
誰も家に居ないってことなのかな?
まず、ひとり。
みぃーつけたぁ。
暗くなってもお家に帰らない悪い子だあな。
くくく。
[外灯もない細い道の闇は、どんどん深くなっていく。]
どうしようか。
今もうここでつかまえちまおうかぁー!?
ぐぐぐふ。あはあは。
それともそれともぉおー。
ごめん。ごめんって。
[と言いつつも、クルミに言われるとますます笑ってしまうのだった。それでも手を差し出し、彼女が立つのを助ける。]
[アンの家の事を聞いて。]
そうなんだ……。
……みんなさがしてるんだし。
大丈夫だよ。
[この根拠のない言葉を口にするのは、一体何回目だろう……と思いながら呟いた。]
[しがみつくように手を握ってくる目の前の少女の声が、微かに震えている気がした。]
こんな時だから、気になるだけだよ。
それだけだよ。
なんてことないの。
偶然なんだよ、偶然。
犯行予告ならわざわざあんなトコに紙隠さないでしょ。
ポストに入れるとか黒板に書くとかさ、するでしょ。
[まるで言い聞かせるように、ゆっくりとした口調で。]
[向こうからもう一人少年が近づいてくるのに気が付いた。]
くっくっく。
みぃーつけた!みぃーつけたあぁー!!
ふたりめだぁー。
[そして、闇に広げた思念の触手の先に、もう一人。]
あはははは。
さんにんもぉー!
ダメだぜぇ夜ってのはぁ、
お家の中でじぃーっとしてないとなあー。
怖い目にあいたくないならなぁ。くくく。
[ざわざわざわ……と、静かに、震えるように、闇が波打っているのが聞こえる。思念の触手はまた一人いけにえをみつけたようだった。]
あははははぁー。
お家を出て来た悪い子がもうひとりー。
いそぉーだなぁ。くくく。
[セイジを見つめる。同級生たちの感じているような不安をこの人はもっていない気がした。]
何だか他人事なんですね。
[呟くが、そういう自分はどうなのだろうか。なんとなくクルミの手を握り返した。]
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