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……
[かくり、と、首を横に傾ぎ]
かみさまってのは…、裁くためじゃァなく、
許すためにいらっしゃるんだ──、と、
牧師さんは、…おれに、
むかし、教えてくださいましたが。
[気のない声で、男は、そんなことを言い]
…まあ。獣のおれには、
…かみさまのお許しなんてのは。
あんまり…、意味のないことではありましたけれど。
許されるのか、どうだなのか、
… 試してみたって、いいと思いますけどね。
[まあ。それを望むんでしたら。と、
最終的な選択については、男は放り]
[厨房の床にへたり込んだ男の上に
猫背の男は腰をかがめ]
どうも…
[ぼそり。と陰気な声が、]
…おれは、あんたを、
── 埋葬したかったみたいです。
[ぼっちゃん。と、温度の感じられない、死人じみた声が、コーネリアスの耳に囁いた**]
/*
無茶ぶり無茶ぶり。
もしこれで今日おれが吊られなかったら、
わりとごーいんぐまいうぇいな
まとめかたをするかもしれませんので
本当今日おれが吊られるといいと思います(←
[表の名前を呼ばれてから少し、
考えるような間が、返事をするまでに空いて]
むかしは、あんたが、
… おちびさんでしたからね。
[ぽつり。と、幼かった少年の事を思い出しでもしたか。
男はふと、そんなことを呟いた。]
[男は教会の使用人の様なものだったから。
──あるいは、本人がそうだ、と認識しているように、
ほとんど遊びの輪にも説法の輪にも加わらず、
穴ばかり掘って、いつも泥の匂いをさせているような男だったから、相手にどういう印象で残っているのかはわからない。]
… …陽さんが来たときのことは、
まだ、思い出せますね。
[──同族の勘か。もしかすれば、相手に自覚がないうちから。ひとりで人の群れにまぎれてきた獣は、子どもの血を嗅ぎつけて]
[やさしい。と、言われれば、沈黙したまま、瞬きの回数が増やして
…どうも。と、評価が疑わしいと思っている口調で、口の中で感謝の言葉を述べ]
…こいつにかんしちゃ、
たんなる。
… 身内びいき、ってやつだと…思いますけどね…
[ぼそり。と呟く声はやはり陰気なまま]
[悩んでいるのか、考えているのか。
あるいはその両方か、おかれた沈黙はそこそこの合間を置き]
… そう…ですね。
しあわせ。って奴についちゃ、
あんまり……
自分ごととして…考えたことがありませんで。
よくわからないってのが、
…本音です。
おれは。
…… 自分が、日々を生きてられたら、
それで、良かったんですよ。
喰って、寝て、働いて…
野山の獣と、一緒です。
[それを──卑下する様子も無く、男はそう言って]
… しあわせかどうかなんてことを、
気にしたり、考えたりするのも、
… 生きるため以外で、
同じ生きモンを殺したがるのも、
それに罪悪を感じるのも、
俺が知る限り、
… 人間くらいのもんですから。
おれも、ちょっと、
… 人間くさくなった、って、ことなんでしょうかね。
[あまり歓迎していないように、
ぼやくように、男は、そう言って]
そいつが、
しあわせって呼べるのかは、
わかりませんが。
もやもやしてるもんは、
… すっとするかもしれませんよ。
心残りの…残り半分は、たぶん。
そいつで、片付くんじゃないですかね。
[おれのは。と、そう言って]
ああ。あと。
もしね。
陽さんが──おれを、止めたいなら、
早いとこ、言うといいですよ。
[陽の希望を振り払ってまで──貫く心算は、最初に言ったとおり男にはなさそうで]
餌を殺すのを、ためらうほど、
… おれは、やさしくないですから。
もし…、機会がきたら。
おれは、きっと、躊躇をしませんよ。**
[と、忠告めいたことを男は言い置いた**]
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