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…でもさ。
[声のトーンが一段階落ちる]
自分の世界は残ってほしいけど――
神様になるのは、やだな。
だって、なんか…大人の仕事みたいじゃん。
大変そうだし、
それに、神になっちゃうと帰れないんだろ?
それじゃみんなと遊べねーし! …つまんね。
[そして、自らを王将とするなら、
ここにいる仲間、と呼ばれる同じ鬼の存在、
彼らのことは、機動力のある飛車角としている。]
[さきほど、グリタと協定を結んだ。
彼は体格もそして、見た目からの存在からも強さを多く秘めているのが伺えたからだ。
例えるならば、金将といったところか。
存在として、守りに固く、そして、攻めに万能である。
そして……]
私がどういうやつか。
そうだな、では話そうか。
私は私の世界で行われている将棋という頭脳を使うゲームのプロをしていた。
これを戦争で例えるなら、
ああ、戦争については知っている。体験はしたことがないがな。
で、戦争でいえば、要するに、指揮官のようなものだ。
[きっとこれは、わかりやすい解説だろう。]
そして、そのプロの中でも私は、まるで人間ではなく、魔王のようだ、とも言われている。
[それから、聞こえてきてた電子音、その端末に目をやる。]
どうやらそれは、君の意思とは関係なく、おしゃべるするようだね。少々使いづらいみたいだ。
[もちろん、そのとき、九番の情報がそこから流れるのも聞き逃してはいない。]
とりあえず、どこからか、イヤホンを拝借するべきだろうが、それを探すのも君にはリスクが高いだろう。
[そして、袖を探ると、自らの音楽端末にあったイヤホンを差し出した。]
きっと合うようにできている。
つまり、君と私は協定を結ぶようにね。
[顔を見られれば笑を浮かべた。**]
、は
[口からゆっくり息を吐いて、
その端が徐々に引きあがる。]
ガキは 俺か。
[打ち付けた掌を握りしめ、俯きがちに呟く。
梨の果汁がべたついているのが、今は、
酷く不快に感じた。]
[鞄が震え、スケジュールが更新された。
開いた手でそれを取り出し、未来を眺める。]
「**時 1Fで6thと会う」
「**時 武器を入手」
[既に過去となった予定も書かれていたが、
もうひとつの未来は、まだ、の事だ。
けれど、トイレに向かう途中に見た
5thの事は書いていない。
俺の日記の性質を思い出し、成程な、と呟く。]
「**分前 11th 5Fで1stと3rdと会談」
[そして、文字色を変えて表示される11thの行動。]
あいつも頭を使ったってわけか。
[それと同時に、タブレットのチャット窓に打ち込む。]
1st、3rd、11thが手を組んだ可能性がある
彼らは今5Fにいる
もし、こいつらに会ったら 逃げろ
[用を済ませ手洗いをしていると、店内には閉店の放送が流れ始め、人の気配が徐々に消えていく。]
24時間営業じゃない店もあるんだな
[自分を移す鏡に、用具扉が開いているのが見えた。
閉めようとそちらへ足を運べば、]
… なるほど
[「武器を入手」という未来を手に入れる。]
[回転式モップが掃除用具のひとつとして入っていた。
鉄製のパイプを握れば、杖に類似していて手に馴染む。
先端のモップを足を使って外し、ポールにする。]
…、…。
[振り回すにもトイレは狭すぎる。
足音を立てずトイレから出れば、上へ向かう階段へと向かった。]
[階段に向かいながら、タブレットに文字を打ち込み]
武器を手に入れた
上の階に向かう
[近況報告を打ち込んでから、]
もし、2ndが鬼なら
どういった行動を取ると思う?
時計ぐらい判るし、俺の世界にもある。
大丈夫だ。
そうだな…数時間置きには何処かに集まって
情報交換と生存報告、と決めておきたいかな。
[言いながら、流れる階段へと足を運ぶ。
乗る時に僅かな躊躇はあったが便利なものだと思う]
[2Fの服売り場、エスカレーター近くの専門店。
マネキンが着ていたジーンズは逞しい腿が入らず
動きやすい濃い色のカーゴパンツを選び
ローブを脱いで赤いキャミソールを着こむ。
脇に短剣を装備して黒いジャケットを羽織り、
黒いキャップを被れば随分と周りに馴染んだ気がした]
しかしこの世界の服は良く出来ているな。
身体に沿った形に作られている。
[魔法という便利な力を得た自分の世界の人間達は、
努力というものが足りないのだろうか、等と思う]
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