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[ジジ…――
パチ…パチ――…
レイヨの問いにしばしの間が空く。
暖炉で火が薪を食べる音が響く。]
ふぅむ……生かしたい者、か……
[悩むようにゆるりと一度瞬く。
車椅子に座る相手を見据えるように視線を向け。]
そうだのぅ……
女子は生かしたいと思うが――
[ふ、と僅かに息をつき。
ずず、と茶をすすって。]
なによりも、自分自身が生きていなければ
意味はないのぅ。
[さらりと言い切った。]
[レイヨの言葉に小さく笑う。]
このような地にいる女子は大事にせんとのぅ……
[住みよい都会へと流れるのは男女ともだが、
若い女子は華やかな街にあこがれるものだという、意識がある。]
――そういうお主は、生かしたいものはおるのか?
[茶を飲まず、考え込んでいる様子を見やり。
向けられた問いをそのまま返した。]
[半ば予想していたとおりの答えに、苦笑を浮かべかけて。
とつとつとした口調で告げられた理由にきょとりとしたように一度瞬いた。]
ふぅむ……
まあ、そういう理由もありじゃろうなぁ……
[カップを受け取りながら、車椅子の上の人を見やる。]
なあに、たいしたもてなしはしておらぬしの。
他のものにもわしも話を聞きにいかねばなぁ……
[ひとりごちながら、レイヨが退室するのを引き止めることはない。
壁に立てかけた杖を手にして、じゃらりと鳴らしながら、扉を開けにいく。]
―自宅→
[レイヨの言葉にゆるりと肩をすくめれば、じゃら、と杖がなる。]
相手の言葉を否定するのは、自らの言葉を否定されることと変わらぬからのぅ……
[ぽつりと返し、
立ち上がってしまえば、前髪で隠れるその面持ちはよくは見えない。]
なあに……冬の女王に抱かれる前に、ねぐらに逃げ帰るから大丈夫じゃて。
[きしみながら遠ざかる車椅子を見送る。
扉を閉めて、冷たい空気のさなかへと、自らも足を踏み出した。]
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