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[厨房へ向かうデンゴの後は追わず。
やがて聴こえてくる、"誰か"の声にも]
……ん
[矢張り、少し怖いのか動き出しはしない]
…参上?
[なんだろう?と首をかしげ、座る面々を見るか]
[だが、厨房へと向かうミナツを目で追う。]
――、
[彼女が、"ジュンタ"と零せば]
…ジュンタ。
[同じ様に、名を繰り返し。
ちらと、ズイハラを見遣り、そのまま俯いた。]
[はっきりと其れがジュンタである、と。
店内に居る物のほとんどがそれぞれに口にする。
其れを無表情に聞き入れ、俯いては]
……
[ぼんやりと窓の外へ視線を送る]
[還る雪を見つめている。
其処にかかるズイハラの声。]
…ええ、もうすぐ。
[相槌を打つも、彼の方は見ず。
視線は変わらず、窓の外へと向いている。]
[見えぬ者に対し、返す言葉は無い。
もしも見えたのならイマリは何と言うか。
ただ、"ジュンタ"であろう者が残した痕跡に]
ズイハラ、さん
[意を決した様に、ズイハラの名を呼ぶ]
[彼の姿に声は少し、詰まるか。
それでも彼の微笑みに合わせる様にして笑い]
……ありがとう
[なんとか、声を絞り出す]
ミナツ、デンゴ。
[凛とした声で二人の名を呼ぶ。
其処にマシロも居れば、最後にきっと呼んだ]
……御願い
[彼らの方は見ず。御願い、という声と共に。
テーブルの下、携帯を操作する。]
[それ以上、言葉を紡げば涙になりそうで。
本音をいえば、黙って見送りたかった。
けれど、]
楽しかった…
嬉しかったし、暖かかった。
[肌の触れる温もりを感じられはしなかった彼へ]
ありがとう
[薄く涙を浮かべ、伝える]
[
黙って居たかったのは。
……声を出せば、涙になりそうだったから。
黙って居たかったのは。
……せめて笑顔で、送り出したかったから。
彼の指が髪に触れ、額に触れたか触れぬか]
……っ
[顔は涙で、ぐしゃりと歪む]
ズイハラ、さ
[薄れる姿に居てもたっても居られず、名を呼ぶも。
ぐしゃぐしゃの顔に気付き、無理矢理笑顔を作ろうと。]
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