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カナメ…何、言ってるですか。
[ややあって声が引けば額を拭う]
[ミナツとペケレのやりとりの端々は耳に入ってはいた]
わからないことが多いのは、みんな同じ…ですね。
[眼前のカメラ。
この写真を撮ったのはこれだろうか、という面持ちで]
ペケレが…写真を、撮った?作った?
[疑問は内に秘める。そしてペケレを射る眼差し]
…自分を、思い出したいですか?ぜんぶ?
レン…?
[ルリの叫びに対するレンの答えへ、
意識を向けたところで、
めにうつるものはもう、そこにはなく]
レン……
[窓枠を握る指、力をこめた関節が白くなる]
あかいはな。
墓碑名に。そう――。
[ペケレの言葉にぼんやり頷くだけ。
それしかできない様]
レンの瞬間、そこに…あるですね。
それに意味があるかはわからないけれど。
呟いて、いちどだけカメラに触れた。
[アンというひとの写真がないのは、
少しだけ、残念な心持がしたかもしれない]
きおく…。かぎ…。
[「むこう」の世界から響く、
それは、優しさとも残酷さともしれない。
俯いて、ふと、
手のひらを見る白衣の男性に、怪訝な顔をして]
[ペケレには、頷いてみせる]
はい。
それは…よかったような、気が、します。
[それからふいと
窓へと視線をそらし、小さくのせた疑問]
二つの花はどうして、咲いてしまったでしょう。
[瞼のうらに蘇る、テンマの扉の青い花]
こんどは、あかいはな…?
手向ける。眠らせる…
[それはカナメも告げてきた]
[その意味はまだ、しかとはわからずに」
ペケレ? だいじょうぶですか。
[屈みこんで、眠っているのを確認して]
…そうですか。カナメ。
これはまた、おはよう、のある、ねむりですか。
[そして]
結びつき…?
[向こうの世界から、
そんな言葉が漂ってきたかもしれない*]
[物理とわかたれた、蒼の世界。
カメラのファインダーに赤が映された頃、
墓碑の間にゆらめきだした影、
遠巻きに、別の薄墨色のが、迎える態で現れ。
さらに向こう、
ひとつの墓碑の前に佇む、淡く暖かな色の影もあった*]
[眠り姫が運ばれるのはじっと見守っていた。
抱きあげられ、落ちそうな彼女の
カメラをそのお腹のうえへ、不器用に置いた時、
写真で出会った男性の顔をルリの目は捉えた。
それで挨拶を]
ユウキですね。
ルリです。よろしくです。
[彼らが去った後は、ふらふらと――]
―墓碑群―
ミナツ…?
[赤い花の咲く前で、足が留まる。
ミナツの肩越しにどこかをみてから。
彼女のスケッチブックへ留まる、視線]
絵を、描いてたですか?
ミナツ。
レンは…影になったです。
それで……さっき、レンの、影は、
[す、と、人差し指が上がり、
スケッチブックの絵を指し示し、伝える。
さきほど二階の窓ごしに、知覚した光景を]
それを、みていたようです。
はい、その絵を。見てたようです。
[そして彼女の傍に、
レンの影が佇んでいたようだと伝え]
[スケッチブックへ寄って首を傾ぎつつ、
仕上がった絵をのぞきこむ]
絵、すてきですね
…いいえ、素敵より、素敵だとおもいます。
…うまく、いえません。
[顔をあげ]
レンは、還ってはいません。
影になって彷徨っています。
望んでか、そうでないかは、わかりません。
ミナツ、だいじょうぶですか。
[レンの声はよくは、聞こえなかったから、と]
[ミナツを挟んで、
獏の反対側に、膝をついて座った]
[つと、一つの墓標の方へ向く]
[そこに佇んでいる花色の影]
あなたが、アン…ですか?
[呟いた時。
花のような足取りで影は、白衣の方へ漂いゆき、
彼の頬へそっと、手を伸ばしたようだった]
[すいと、足を返した、アン]
アン…?
[ルリの前で立ち止まり、
彼女の透ける指が、何かをさした]
なんですか?
[みれば、
直前まで佇んでいた、墓碑がある。
赤い花が彩るそれはアンのものらしい]
――絵を、ありがとう、と。
『あやまらないで。ミナツの絵、好きだから。
描いてくれて、ありがとう』
そう、ミナツに伝えてって。
レンが言ってます。
それと…獏。
[ミナツ越しに獏を覗き込んで、
大きな瞳が瞬く]
ミナツを守って、って。レンが、頼んでます。
それから。世界の歌を聞いてみたい、と言ってます。
もう。テンマは。
いぢわるなの。やさしいの。いやらしいの?
ちっとも。わかりません。
[平坦な小声でルリは呟く。
語調ほどには呆れや怒りは含まれていない]
わかりま、せん…。
[少し不思議そうに
ミナツと獏とを、交互にみた]
[頷くともなくミナツへ頷くと、
いちど温もりを握り返してから離し、
膝をはらって立ち、アンの墓標の方へ向かって*]
アン、ここですか?
えっと…?
[赤い花をかき分けのけてみると、
西欧の文字で記された下、花に隠れていた、
東洋の文字の綴りと、5桁の没年が露わとなる。
数字には、どこか覚えがあるかもしれない。
その傍の墓標に刻まれた、数字は4桁]
アン…?
[確かめるように振り返り、かろうじて届いた囁きは…幽かで、とても聞き取りにくかった]
ら く え ん …? と、何…?
もしかしてアンは…
眠る前のこと、覚えてるですか?
[刻まれた数字を見比べ、また向き直る。
すると長い髪の少女は、
肯定も否定も伝えず、手を挙げ今度は上を、
硝子の天井を包み込む素振りをして。
そして空中へ溶け込むように去って行った]
[その時ひときわ、
カナメの声が高まる]
カナメ…?なに…。
ルリが、生き延びる為に…?
ミナツ…?
ミナツが、どうしたですか…?
ミナツの所為でレンが…?
そんなこと、ミナツ、言ってたですか…?
わかりま、せん…。
なにを…はい、
ミナツには、死者になってほしくない、です…
[やがて声は、優しげな調子を湛えてきて]
手向ける。
[扉の前でしゃがみこみ、、
幾度も幾度も吐かれる言葉]
どうして、ですか――。
死者って、なんですか。
[地を這う蟻へ、差し出された指]
[見えぬものとの対峙は続く]
――いいえ?
カナメは、良いものだとおもいます。
それにカナメだけじゃなくて……
…さわげばいい。
ただし ちゅういぶかく。
[含蓄じみたこれは、
ルリ自身の言葉ではない]
せかいが かんまんに ちんもくしていく…?
[蟻を手に乗せたまま。
届かぬ扉を、knockするフリ]
……ずっと、思ってたです。
テンマは、いぢわる です。
そのくせ――
[あとは、口をつぐんだ]
鍵はまだ、かえしてあげない。
[ポケットの中身へ触れて独り言。
いましばらくは必要と。思ったか]
振り回したら、
…蟻、目を回してしまう、です。
[立ち上がる際には、よろめいて。
より緑が茂る所へ、蟻を連れて行こうと
樹の間に消え行く姿*]
[木漏れ日の下、
土へ下ろされた蟻は急いて行く。
どこかへ帰って行くのかもしれない]
[見送って唇をひらいた]
――カナメ。
アンは、どうして…
[突然さいた、赤い花]
[アンのようになりたくないでしょう、カナメが優しく語る]
……わかりません。
レン、「そちら」のせかいは……うつくしい、ですか。
[いつか獏が口にした形容詞を、
問いかけて僅か空気を震わせたものの、
その答えを恐れる具合に、顔を下げて。
むしろ彼に聞かれていない事を、期待していたかもしれない]
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