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[―公園・昼間―]
ジジ犬、ジジ犬、おおあくびー
ジジ犬、ジジ犬、歯がないよー
[奇妙な歌を口ずさみながら神社敷地内のベンチに腰をかけて絵を描いていた。
鞄の中にはクレヨンや絵の具、切り貼りする為のものか、折り紙、鋏、定規、カッターなど様々な道具が詰め込まれており、スケッチブックは統一性の無い絵で埋め尽くされている。
描いている絵はお世辞にも上手いとは言えず、その拙い線の上から虹色に塗りつぶしていった**]
あ、わんちゃーん!
[姿を見せた人懐こそうな野良犬に塗りかけの絵をベンチに放置し、嬉しそうに駆け寄っていく]
よしよし。もふもふなのね。どこから来たの?
ロッカはね、あっちから来たのよ。
[犬の頭を撫でつつ自分の家の方向を指す]
ほんとはね、病院の日なんだけどこっそり逃げてきたのね。ロッカ、どこも悪いとこ無いもん。
それにあのお薬飲むと具合悪くなっちゃうのね。ロッカ、飲みたくないの。
[犬の頭を撫でながら話しかける。
親から精神的疾患があると思われていることは少女は知る由も無い**]
あ!
[犬を撫でていた手を止め、勢いよく立ち上がる]
……補修、すっかり忘れてたのね。
[呟いた後、慌てて荷物を詰め込み教科書も持っていないのに学校へと走り出した。
ベンチに虹色に塗られた絵を残して]
―学校前―
[校門から中を覗き込むとチラホラと帰路につく生徒達の姿が見える]
遅かったのね。
[どうしたものかとウロウロするが、どうしようも無いという結論しか出ない。しかし折角ここまで来たのだからと中に入ることに]
[ケンに声をかけられ、声の主を探してキョロキョロと辺りを見回す。現在のクラスメイトでは無い彼の姿を認め、記憶を手繰り寄せる]
んーと、んーと……ケンくんだー!
[思い出せたのが嬉しかったのか、両手を上げて名前を呼んだ。そしてすぐに手を下ろし]
六花ね、補習忘れてたのね。でも思い出したから来たのね。でも遅かったのよ。だから先生にごめんなさいしに行くのね。
ケンくんも補習?
[人懐っこい笑顔を浮かべて聞き返した。
今では散々注意されてやらなくなった走り幅跳びの砂場でお城を作ったり、チョークを教壇に並べて電車や動物を描いたりしていたことは去年同じクラスだった彼は知っているだろう。
当時クラスでも遠巻きに見られ勝ちだった六花にはこのように話しかけてくれる相手は嬉しい存在だった]
えへへー。ケンくんはクラスのおにーさん的存在って誰かが言ってたのね。六花、ちゃんと覚えてるのね。
[覚えててくれたという笑顔に嬉しくなって得意気に他にも覚えていることを言う。
部活をやっていたと言いながら動かされる弓に目をやり]
部活?キュウドウ?弓大きいのねー。
[言いながらテレビ等で見たことある弓を射るポーズをしてみせる]
用事?落し物なのね。
[寺崎が誰かの生徒手帳を取り出すのを見つつ、だが思い直して職員室への同行の誘いに笑顔で頷いて答えた]
うん、行くー!
―玄関→職員室―
[寺崎と連れ立って職員室に向かう途中、話しながら歩いている櫻木奈央と弓槻臣哉が歩いてくるのが見える。話の内容に気を惹かれ二人に近寄って声をかけた]
ねえねえ、なんの話してるの?
キシャ?遠足行くの?
[面識ある無しに関わらず屈託なく話かける。名前を聞かれるなら名乗るだろう**]
偽汽車?六花、聞いたことあるのね。アンちゃんが話してたのね。ユーレイ電車って。
[サラリと返された内容に最近二宮が話していた内容を思い出す]
汽車乗ってみたいのね。煙吹くのだったらいいなー。
[櫻木の行く?と尋ねる言葉にうんうん頷きながら一人で盛り上がる。
そして話している相手が名前も知らない人だということを思い出した]
六花はね、村瀬六花って言うのね。須藤センセーのクラスなのよ。おねーさんは?
[櫻木の少し大人びた風貌と喋りに年上という印象を受けたようだ]
[素通りしていくクラスメイトを時折見送りながら、そういえばまだ小春の姿を見ていないということを思い出す。
六花の頓珍漢な話題にも柔和な笑みを浮かべて付き合ってくれる彼女に非常によく懐いていた]
コハルちゃん、もう帰っちゃったかな?
[首を動かして教室の方向を眺めていると担任である須藤を見つけて片手を大きく上げた]
センセー!来たよー!
[悪びれもせずに言っていると頭を撫でられた]
あのね、六花、連絡入れてもらうの忘れてたのね。今日病院あったのね。ごめんなさい。
[お辞儀をして謝る。宿題の言葉には]
わーい、宿題たくさーん!
[何故か喜んだ。なんでもたくさんというものが好きなのだ]
宿題たくさんだと課長さんごっこが出来るのねー。
課長!書類がこんなに溜まってます!
うむ、そこに置いといてくれ。私はスマブラをやるのに忙しい。
って言うのねー。
[宿題を回避したそうに目を逸らす櫻木を他所に、楽しそうに声色を変えて一人芝居をしてみせる]
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