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須藤先生、さようなら。
ん、寺崎君は…そうか、さっき明日朝早いって言ってたものね。
うん、またあとで。
[須藤へ挨拶をし、自宅へ帰るという寺崎へ軽く手を振って、彼らに続いて歩き出だす。]
―廊下→玄関に向かい中―
[玄関に向かってる途中で、長澤が後ろにいた二人組みに声をかけだしたので、自分もつられて振り返ってみた。
そこにいたのは、大人しそうな女生徒と、私服の男子だった。
さりげなく上履きの色チェックをし、二人の学年を確認する。2年生のようだ。
私服で学園内にいたから卒業生なのかと思ったが、上履きを履いているし、在校生なのだろう。多分。
軽く会釈をしてから挨拶をする]
こんにちはー!
あたし達も今日偽汽車見に行くんですよー。
…って、先輩なんで私服なんです?
一瞬卒業生の人かと思いました。**
ケンくん帰っちゃうのね。
また後で?なのね?
練習頑張ってねー。
[同行出来ないことを残念そうにしながらも寺崎の後ろ姿に大きく手を振った]
[ぼぅっとしながら青玲学園の事件や小山内のことに思いを馳せていると、予想外の人物に声をかけられて思わずびくりとする]
……寺崎?
お前こそ、何してんだ?
[先日のグループの中に、寺崎は居なかったはずだ。そう思って聞き返すと、彼は淡々と明日の予定について説明した]
それは初耳だな。いや、お前はオカルトとか興味なさそうだったから、意外でな。
……俺? ま、見事に乗せられただけだよ、あいつらに。
そのくせ、ここを通りかかったのは寺崎が初めてだけど。やっぱり他にも誰か来るんだな?
[憂いを帯びた椎名を前にして、小春の瞳に戸惑いが浮かぶ]
……そっか。 大丈夫?
体調が悪いなら、無理しないで……ああでも、直接話さなきゃいけないことだったのかな。 課題、…とか、手続きとか……?
[椎名が休みがちであること以外は何も知らない。
突っ込んで聞いて良いことかも分からずに、曖昧な口調で返答した]
松柏駅…松柏駅。
確か噂があったわよねぇ…。
[廊下をぼんやり歩きながら、数日前に二宮が話していた内容を思い出す。
休憩時間、忘れ物を取りに行った時に小耳に挟んだのだった。]
ああ。偽汽車、だったわね。
でもああいうのって不思議よね。
警笛を聞いて、連れて行かれたらこっちに戻れない。
…じゃあ、なんで怪談として伝わるのかしら。
不思議だわぁ。うふふ。
[ひとりごちながら、忍び笑いを漏らす。
何人かはあの話に聞き入っていたことも思い出すが、彼等がどの程度本気にしていたかまでははっきり覚えていなかった。]
[『松柏駅行くんだろ?』という問いかけには、目を丸くして頷き]
うん、私も行くつもりだけど……椎名くんも?
……だ、
[大丈夫なの、と繰り返し尋ねてしまいそうになり、口籠り]
本当に皆知ってるんだね。松柏駅のこと。
誰も彼もが話しているから、吃驚しちゃった。
[慣れぬ男子生徒との会話に、少し緊張した様子を見せながらも、言葉を継ごうと口を開く。
けれどそれが音になる前に、先ほど小春が出てきたのとは逆側の教室の出入り口が、大きな音を立てて開かれた。
『こらー、お前たち。 補習が終わったんだから、さっさと帰れ。寄り道すんなよー』]
……ひゃっ!?
[びくり、と背がしなって思わず振り返れば、担任である須藤が教室内の生徒に向けて、声をかけているところで。
須藤の登場に気を取られていたために、椎名の独り言は耳には入らなかった。
呆けていたのは一瞬。 すぐに、歩き始めていた椎名に気付いて、小走りで駆け寄る]
[鷹野の言葉に、はじめて見知らぬ後輩であったことに気づく]
お、ああ。呼び出しだよ、呼び出し。お前らも気をつけろよ?
・・・そうそう、俺たちも偽汽車見に行くんだ。一緒に行くか?
[続いて長澤の馴れ馴れしい言葉に、気分を害することなく答える]
ああ、オカルトなら意外といろいろ話せるぜ。いまも同じクラスの三枝に話してたんだ。じゃあ道中盛り上がりながらいくか!その代わり、お前らもこの辺のオカルト話とか、知っているのは教えてくれよな。
オカルト……こわいのは、あんまり得意じゃないんだけど。
その、ちょっと会いた、……じゃなくて、気になることが……でもなくて、…………や、やっぱり興味があって。
ほら、皆が行くって話しているから、私もって、……。
[言葉尻がどんどん濁っていったのは、突っ込んで聞かれては都合が悪いと途中で気づいたから。
結局は、「皆が話しているから興味があって」などと、流行りごとには疎い小春らしからぬ理由に落ち着いた。
失礼な返答になってしまったかもしれない、と青ざめてひっそりと唇を噛むも、椎名はあまり気にした様子もなく、オカルト知識を披露してくれた]
……そうなんだ。 椎名くん、詳しいんだね……!
[小さく息をつく。
椎名の変わらぬ調子がありがたくて、熱心に聞き入りながら頷いている内に、血の気も戻ってきたのだった]
[そう言って玄関を出ようとすると、小鳥遊が歩いてくるところだった]
あれ、モミジちゃんまだいたんだ。あ、先生ね。モミジ先生。
モミジちゃんも松柏駅興味あるの?なんなら俺たちと一緒に行こうぜ?
[先生に言ったらとめられる、という感覚はないのだろう。気軽そうに尋ねた]
[この時間に松柏駅へ向かっているとなれば、やっぱり噂の件と思われるのも自然だった。]
まあ、噂話が気にならないって言ったら嘘ですけど。
[少なくはない人数が口にする噂であったし、学校で聞いたばかりでもあったので、興味はあった。オカルトが好きとかそういう感じではないのだが。]
近藤先生は優しすぎるんですよ。
塾の人達が行くって話は…僕は聞いてないっすね。
学校では、同級生達が行くって騒いでたけど…。
[近藤から目を逸らし、先程話していた彼らが来るかもしれないと、道路の方へ目をやった。]
あらあらまあまあ。
椎名君、まだ残っていたのねぇ。
[一緒に、という言葉には少しだけ困ったように笑い]
ええと、そうね。
先生もその駅方面に用事があるし、ついでで寄るかもしれないわぁ。
それでいいかしら、椎名君。
[流石に須藤のパトロールに便乗するだとか、バクの個人事情に興味があるからついていく心算だと言う筈もなく。]
それにしても、椎名君がオカルト好きなのは意外ねぇ。
そういうの、女の子の専売特許だと思ってたわぁ?
うふふ。
[と、いつもの笑顔で。]
へえ、モミジちゃんも来るんだ。そういいながら、本当はオカルト好きとか?じゃあまあ、会えたらね!
へへ、外で先生に会うのってなんか変な感じだねえ。
[小鳥遊とわかれ、椎名は同級生や後輩とともに、玄関から出て松柏駅に向かった]
さあ、行こうぜ。どうせ何もないだろうけど・・・もしかしたら、本物の偽汽車を見れるかもしれないしな・・・!
[期待をしていなさそうに軽く言うが、目の中は本気だった。今度こそ・・・そう信じて、彼はオカルト話を面白おかしく後輩に話しながらも、真剣な目で駅に向かっていた。]
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