[1] 絞り込み / 発言欄へ
[突然のスピーカー異常に思わず耳を
押さえていた手をおそるおそる離す。]
…
なに、今の? …
ブザー音の代わりにしては、
直球すぎないかしら…
[軽い浮遊感。ハコが降りる。
6人を乗せた実習エレベーターは
教員からの指導を挟む都合もあり、
次の停止階までは数十秒を要する。
通信が不調らしき今は、
流れる空気もどこかぎこちない。]
[『スクープ! スクープ!!』
空気を変えるためか興味のなせる業か、
新聞部のアンが非常呼出ボタンを
連打するチカノの手元を録画し始める。
もういちど、
…もう、と呟こうとして やめた。]
いくらなんでも、それは…。
[マシロからの尋ねへは言葉を濁す。
単位取得の可不可自体はロビーへ
掲示されることになっていた。
俯いて黙りこくっている
ワカバの様子をちらりと見て――]
ひとりの責任にするなんて、だめよ。
[友人の困惑には表情で同調しながらも、
"追い出す"ことへの忌避感を*口にした*]
[紙に何か書きかけて、すぐに手を止める。
各々の言を吟味してみるというには、
いささか思案に費やせる時が足りない。]
… なんだか、
緊急時に、優先してお逃がしすべき
お客さまをあてる課題とも取れるのね…
――でも、
私はおもりを下ろすワカバの案に 賛成。
[推測とは裏腹に、前にいるチカノの脇腹を
くすぐって錘の上からどかせようとする*。]
〜〜〜…
[ふたたびスピーカーから降った
アナウンスに、しゃがみ込んでいた。
涙目で顔を上げて、マシロを振り仰ぐ]
…だから。
実習は中断と見なすことにしたの。
[返答は、チカノへの其れも兼ねた。]
[友人の指摘する通り、
仮に「避難誘導実習」だったとして。
大切なお客様を「追い出す」だなんて
表現をする指導員は…知る限りいない。]
[得られぬ応えにナオへ笑む友人が
疑問符を羅列しだすと、目許を擦って]
…マシロは。
いつでもなんでも、
自分がわかってればそれでいいんだわ。
[ワカバと同じく口調の一致をみる
指導員がいないと至る思考を黙し悪態をついた*]
あ、…
[明滅。灯りが頼りなくなる。
狭い空間にある友人たちの存在さえも。
隣にいるワカバの蒼白な面にはっとして]
ナ、ナオ。
開いたら、ドアロックおねがい。
[オベレーターの位置についているナオへ
震え声をかけながら、漸く立ち上がろうと。]
[1] 絞り込み / 発言欄へ