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[ひらり落ちて、一葉の葉書が円筒の底を叩く。
その音を聞きながら、少女は問いに答える]
プレーチェ。というの。
[続く男の誘いに小首を傾げ]
私、おなかが、空いたわ。
[ふわりと唇を引いて、少女は言った]
[先ほどより少しだけ距離を縮めてテンマの後ろについていく。
やがて暖簾をくぐって、賑やかな熱が]
テンマも、
……思い出が足りない、の?
[ちょこんと横に座って、素朴に聞いた]
[きょとんとした顔で、あたりを見回して]
ひげのひとも、マフラーの人も?
思ってたより、有名なのね。
みんなで、「じょうほうこうかん」するの?
[秘密基地の話をする子供みたいな瞳で]
かばん、いっぱいの。
[なんとなしに、聞いた噂の断片を呟き。
そしてそれは続けずにテンマを見つめなおして]
大人になって、忘れてしまった?
[出合った時の会話を思い出しながら言って。
彼の問いには小さく頷く]
私も同じ。ずっと、探しているの。
忘れてしまった思い出なら、
その人が思い出すだけ。……ではなくて?
[渡す方法についてマフラーの人が独りごちるのを聞いて]
……。
[勝手にレバーをつまむ]
[>>22 申し訳なさそうに首を振って]
ごめんなさい。私はあまり知らないの。
――でも、そうね。少しは知っている。かも。
[思い出したように、即座に訂正し]
ぶたの貯金箱いっぱいのお金。
[羊キャラらしき貯金箱を鞄から取り出して]
さっき買っておいたの。
豚。と言い張れなくもない、と思うの。
[>>27青年にオレンヂジュースをいれて貰って、
少女はひっそりと上機嫌のよう]
そう。
じゃあ、元々ないものを、探しているのね。
[ふるりと、一瞬睫を震わせてそう言った]
いいえ。もちろん噂を耳にしてから。
でも幸せにしてくれる誰かをという意味なら、
ずっと。
[悲壮な顔で砂肝を食べるレンを見た]
鬼だわ。
[続く言葉>>29に軽く首肯して]
中身ね。自信あるわ。
小石を多めに詰めておいたの。
[きりっという音が聞こえそうな口調で]
[レンの鞄を見て]
みんな。重そうだね。
[ぽつと呟いて、>>31二人目のヒゲの人を見る]
そう。都市伝説ね。
恥ずかしいから、私も本当は誰にも言う気はなかったのだけれど、不思議ね。
不思議なほど、茶化している人が少ないの。
[ふぬん、と。レンの言葉をかみ締めるように]
そう。確かに公平ね。
私の大切なものと、あなたの大切なもの。
強いて言えば、レバーは思ったよりももそもそしていたことも査定して欲しいけれど、もう大人だから納得するしかないようね。
[ふるふるとかぶりを振って]
地球にあるもので大切じゃないものなんてない。と言いたいところだけれど、正直そのへんに落ちていたの。そう。困ったわね。
あなたたちみたいに、差し出せるものを、
思いつかないもの。
……。
[テンマの小皿に自分の砂肝を一つ入れる]
ねえ。テンマ。
[意識をこちらに向けようと、男の腕をつんつん]
あなたなら、どんなものを差し出す?
ええ。こんな風に。
[くすりと笑って、コップに注いで貰う]
家を一軒。
[繰り返し。
目をぱちくりとさせて、青年を見る]
素敵ね。
価値の話じゃなくて、
あなたの覚悟が、素敵ね。
[アルパカ説が浮上した貯金箱を指で倒して]
そんなことない。と思う。
私に差し出せるものは、他にもあるかもしれない。
何を失っても良いか、もう少し考えてみるわ。
[そう言って、またテンマを見上げるようにして]
でも。ありがとう。
テンマ。あなた、ほんとうに紳士なのね。
[ぺと、と赤子みたくテンマの頬に触れる]
残念だわ。
[触れた指をすぐに離し]
私が売れるものなら、売ってあげたかったわ。
とても、残念ね。
[長い睫を震わせて、哀しげな声で]
……。
[隣の会話を盗み聞き。かく、と首を傾げ]
その人が直接来ないのは、どうして?
[おひげの編集者に、聞いてみた]
[テンマの返事に唇を少し引いて]
どういたしまして?
私に話しても仕方ないかもしれないけれど、
良かったらまた色々聞きたい。
[続く言葉にこくと頷き]
あら。そうね。
そういえば、どうして私を誘おうと思ったの?
[恋に落ちたの?と真顔で聞いた]
[>>60 レンの言葉に目を細め]
そうね。
思いもよらないものが無くなるのかも。
差し出せる中で、無意識に差し出すのをやめたもの。とか。
そういうのだったら、とても怖いね。
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