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[頬の内側に綿を詰め、つばの大きな帽子を目深に被る。家の扉をそっと開け、左右を見回し近くにグリタの姿がないことを確認してから外へ。管理棟とは反対の方向へ歩き出し]
孝治君は、まだ測量をしてるんでしょうか……おや。
[樹の下で足を止めて、周囲を見回した]
亜米利加山法師が、沢山……静かなる侵略者ですね。
[微笑んだ後、樹の幹に耳を当てる]
…!?
[ごんごんと勢いよく扉が叩かれ、手入れをしていたレンズを取り落としそうになる]
な、なに?
[続いて聞こえた編集者の声に、詰めた息を吐き出した]
栗田さんか…。びっくりした。
なんだか大変ね。
[緊張が解けて一人くすくすと笑い出す]
あらあらあら。鼠さんですかぁ。
[お茶欲しいというアピールには気がつかず、様子を眺めていて]
…鼠さんって、何をたべるのかしら…お鍋も食べるのかしら?
[こてりと、首をかしげた]
[しばらく樹に寄り添ったまま時を過ごす。くうぅ、とお腹が鳴いた]
……それじゃあ、ね。
縁があったら、今度は花が咲いた頃にでも。
[ハナミズキの樹に別れを告げると、管理棟へと足を向ける。棟の外まで漂って来る熊鍋の香りに、もう一度お腹が鳴き声を立てた。管理棟の扉をそっと開け、中の様子を窺ってから足を踏み入れる]
[背後の部屋の中から、父親の笑い声が聞こえれば、
唇をへの字にぐっと噛み締める]
……んなサプライズ、いらないし。
[追いかけてきたらしい父親を、きっと見上げるが、
渡される小さな2つの包みを、複雑そうな顔で受け取って]
……もう、いいし。
…………ごめん。ありがと。
[そういや、真面目にやってればそんな頃か。
ぎゅっとプレゼントを握りしめてそっぽを向きながら見送った]
[ドアが開く音にそちらを向けば、フユキの姿が目に入る]
あらあら。さっきのおじいさんですね。
[軽く*頭を下げた*]
苦いの。あちゃー。
[ビセとドウゼンの様子を見て真顔になった(つもり)。]
困ったネ!
[鍋を勧めるビセに近寄りポケットに顔を突っ込んだ。]
おやつおやつ。
……?
[地面に定規をあてて測定を続けていたが、ふと、後ろを振り向いて]
今、誰か……
……気のせい、ですかね。
[ただ白い世界を確認しては、呟き]
大分暗くなってきましたね。
そういえばもうそろそろ食事の時間かもしれません。
少し、行ってみましょうか。
[簡易な地図を描き入れてある紙に、測定の結果を記してから、立ち上がり、管理棟がある方へと向かう。もう雪はやんでいたが、傘はさしたまま]
ふぉふぉ。楽しくやっとるかの?
[ビセに挨拶をすると、帽子を被ったままふんふんと鼻をひくつかせて]
この匂い……夕餉は裏に住んどった権太かのぉ。
[玄関脇から視線を感じれば、ちらとそちらを見やった後、管理棟の中へ]
[何軒かノックして回ったが収穫なし。
軽いため息。]
捕まらんなぁ。ううん。
[とりあえず、管理人棟へ戻ることにした。
確か熊鍋がどうこうなんて話もあったか。]
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