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― 診療所 ―
[結局その足で帰って来た。
昼も過ぎていたので家にあった漬物をつまんで飢えを凌ぐことにしたのだった。
回診中の看板を取り、診療所の中へと戻ればカルテに必要事項を書き込んでから暦をもう一度見た。]
[明日の回診の準備と同時に、別の準備を始める。]
…、…
[ここ数年何度となく繰り返されてきたこと。]
『 ただいま。 』
[小さな声と共に帰宅を告げる娘の声。]
おかえりー。
今日はダンちゃんも来るから
一緒にご飯食べようね。
[こくんと頷いてから奥の部屋へと向かう双葉を見送った。
診療所の待合室は日課のようにお年寄りでにぎわう声が聞こえてきていた。]
ん…、あれ?
はーーい。
[ぱたぱたと音のする方へと向かい裏の戸を開く。]
マシロちゃん。
…どうかした?
[年頃の女性の訪問は色々と気を使う部分がありやや真顔のまま彼女を見上げた。]
[マシロの言葉に瞳を瞬いてから]
…今日はまだ来てないみたいだね。
診察室は相変わらずの様子だけど、…
あ。
急ぎの用なら来た時に伝えておこうか?
ありゃ、そうなの?
わざわざ探しに来たのに…
ん、うん。
それじゃ、おばあちゃんに宜しくね。
[ほにゃっとした笑みを向けた。]
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