36 終幕への村
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【墓】 緑帽子 レン
[感じることがひどく鈍くて。それでも少しずつ。少しずつ。]
声が……聞こえる。
みんな…？
…花？
[鈍い感覚の中。つい先ほどと違う、そんな違和感。何もかもが]
箱入り娘 プレーチェ
テンマ、向こう。
［羽織った背広の袖口をつまみ上げ、ペケレに掲げる。
絞り出した声はそれ以上の音を出さず、娘の顔は微かに歪んだ］
長身 ライデン
アン……
レン？
アン、という人には会った事がないが。
レンは……今まで、此処にいたのではないのかね。
［先程ルリが呼んでいた声を、遠くも確かに視界の端に映った姿を思い出す。二つの赤い花を見据えながら］
……プレートに。
名前が書かれている、のかね？
［誰にともなく問うような、確認するような言葉は、空気に溶けるように語尾が掠れ］
長身 ライデン
墓碑に……
［ペケレの呟きに返すような呟き。
赤い花や扉より少し離れた位置、それ以上進みもひきもせずに、立ち尽くし］
鍵っ子 ルリ
あかいはな。
墓碑名に。そう――。
[ペケレの言葉にぼんやり頷くだけ。
それしかできない様]
レンの瞬間、そこに…あるですね。
それに意味があるかはわからないけれど。
呟いて、いちどだけカメラに触れた。
[アンというひとの写真がないのは、
少しだけ、残念な心持がしたかもしれない]
【墓】 緑帽子 レン
[会釈をしながら目の前を通り過ぎた男。ぼうっとする中、それを無意識に目で追って]
男…背の高い……30過ぎ……
[口から紡がれるは、いつかペケレに聞いた特徴。結びつける言葉、名前は。]
テンマ。
[呟いた名前だけが、まるで当たり前のことであるかのようなはっきりとした響き。
こつ、こつと聴こえてきた足音に。誘われるように歩き出す。]
眠り姫 ペケレ
向こうって……どこ。
どこかに行くの？
安らかに、眠っているんじゃないの？
[誰かを責めるような、少しいらだちの混じる口調]
ええダーリン分かってる！
眠ってる……のね……。
[口調はカナメを信じては居ない]
学生 ミナツ
よし、できた！
［そこに描かれていたのは、木々の中に佇むレンの絵。
木漏れ日を浴びながら、空を見上げている。
1本の木にはウグイスが羽を休めている］
……カナメ？
この人は……「大丈夫」なんだ。……よかった。
鍵っ子 ルリ
きおく…。かぎ…。
[「むこう」の世界から響く、
それは、優しさとも残酷さともしれない。
俯いて、ふと、
手のひらを見る白衣の男性に、怪訝な顔をして]
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