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桜なんだ……なんだか寂しいね。
[まだほとんどがつぼみの桜の枝の先に、真っ赤な月が輝いている]
咲いたら……綺麗だろうな。
[ひとつ、ふたつと枝の先に淡い桜の花が咲き始め、またたくまに満開となった桜の木の下で、楽しそうに目を細めた]
魔法みたい。
なんで消えちゃったんだろ。センセもキクコちゃんも。
センセは、水晶にうっかり触っちゃったからだとしても、キクコちゃんは?
なんだか……自分から消えたみたいな感じ。
なんで?
[足元をみつめ、自問する*]
[ヘイケが提示した、ミニクロワッサンストラップが付いた携帯電話に、思わずスタンダップ]
あた、あたしの!
あ゛〜っ!?
[挙手して、あたふたと主張する間に函体は消されてしまった]
使い魔……?
[足元を見ると、イースターエッグが一個転がっていた。
更に、テーブルの上には鳥モモ肉が鎮座していたので、八の字眉のへの字唇で涙目になった]
と、取ってこ〜い!
[犬に命じる口調で扉の方を指さすが、ヒヨコは反応せず]
『どうでしょう』
[リウの言葉を思い出しつつ、糸を引っ張り返してみると、見えない糸にかすかな手ごたえ]
……あれ……?
[糸を辿り始めた]
可愛い……。
[ヒヨコを高い高いしているルリに癒されている]
あなたも魔女なの?
[問い掛けてから椅子に腰掛けると、モモ肉が否応なしに目に入る]
ガモンさん。
[何を考えたのかは口にせず]
気が触れそう。
[俯くと涙が零れた。
両手で顔を覆う姿を、一際小さなヒヨコが見上げて首傾げていることには*気付かない*]
せいぎょせいぎょ。せんぎょさんっておさかなさんのことなんだよ。
わあい。ちらしずし。たまごたまご。さーもん。
ちらし寿司。いいねぇ。
ガモンさんや、頼んだよ。
[ついでに弟子の様子も…と喉まで出掛かったが言うまでもなさそうだと感じ、鉛白の魔法使いをそのまま見送る。
ぱちん、と指を鳴らしてキッチン方面へ続く通路の明かりを灯してやって。]
イースターエッグとはこれまた手の込んだものを…。
潜在能力は相当のようさね。
…にしても、不安定すぎるねぇ。どっちに行くんだか。魔法使い方向に行くなら相当なモンだが。もし人間方向に行くなら今夜限りでぱったり力がなくなるパターンかねぇ?
[ヒナを見上げて首傾げている小さなヒヨコを見て]
…そしたらこの慕ってくれてる『ぴよちゃん』がちと可哀相な気がするがね。
あっはっは。そうさね。鮮魚はお魚さんだ。
ルリちゃんは物知りだねぇ。偉い偉い。
[しばらくにこやかに笑っていたが]
…ルリちゃん。
ルリちゃんはどこから来て、どうして迷っていたんだい?
それがわからんと日が昇った後に返してやる場所がさっぱりさね。
[今頃探しているであろう迷い子の親の事を思い、優しくも真剣な表情で。]
[>>+29ルリに撫でられて余計に涙腺が刺激されたところで、ぐぅと鳴るお腹]
あたしも、ちらし寿司、頂いても宜しいでしょうか……。
[厨房で跨がった箒のことを思い出した]
あたしも、空なんて飛べなかったわ。
[一番小さなヒヨコが一羽、よちよちと部屋を出ていったことにも気付かずにいる]
祖母が亡くなったときに。
[手にした烏龍茶を見下ろし語る言葉は穏やかなもの]
遺品の中から私宛の手紙が出て来て、そこにはこう書かれていました。
私が小さな頃に姿を消した母――祖母から見たら一人娘でした――が、今も元気に生きていて、私には母から魔女の血が受け継がれているのだと。
ずっと、祖母の創作だと思っていました。
絵本とか、小説とか、そういう。
けれど、一緒に入っていた白黒写真に写っていた景色は、この塔とあの屋敷と……
[黙り込んで、烏龍茶で*喉を潤した*]
ヒナさんは塔ならたぶん大丈夫として。
[ヒナのノリならどこでも生きていける気がした。
夢が本当ならヘイケ達も当にいるはずだし。]
キクコちゃんがなー。
黒い魔法使いの事も気になるし。
アンさんに連絡とろうにも触ったら消えるんだよな…
[水晶玉を見る。
今は脳裏にうんともすんとも言う声はない。
その内、顰めてる眉が疲れてきたので指で揉み揉み。]
よし、わかった!
オレに頭脳労働は向いてないっ!
[開き直った。腕を組んで仁王立ち。]
とにかく探してくるわ。
曲がり角辺りで案外ばったりするかもだし…
おわっと! なーんだコレ?
[羽ばたいてた糸の蝶々がぐぃーと沈んだ。
かかった、そんな感覚が袖口に伝わる。]
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