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あなたが、どちらであろうと─…これから先、私の生徒や家族を脅かすようなまねするんなら…覚悟して下さい。
[ヨシアキの腕の痣に手を*伸ばす*]
−雑貨屋−
[ちりりんと、自転車のベルの音を鳴らして、駐在が雑貨屋にやってきた]
ああ。ここに永嶋さんと光野さんがいたんですけどね。いきなり…
[現場を確認しにきたらしい、駐在と話していれば、イマリの姿も見えなくなっているとの話を聞く]
はぁ?
[それだけを返すのがやっとだった。
駐在はしばらく様子を見た後、]
『そういえばさっき、進藤の奥さんがアイス持ってうろうろしてましたけど、どうしたんでしょう?』
[そういい残して去っていった]
[部屋に戻り、神棚を見上げる。
何かを思い立ったように、椅子を持ってきて、神棚の前に立つ。
ぱん、と手を打って軽く拝んだ後、お札と一緒にお祭りしてあったお守りを手にとった]
[そのまま店を閉めて、外に出た]
―回想/日差しのきつい校庭―
あんた達は、消えないから好きよ。
[小さな花壇にしゃがんで、グラジオラスに呟いた。
先ほど撒いた水のせいだろうか、グラジオラス5赤を揺らめかせ陽炎がのぼる。
揺れる空気のその先に、何か不自然なものが見えた気がした。]
゛おいで、おいで゛
[いつものように嫌、と答えようとして、口ごもった。
陽炎の先に見覚えのある人影が見える。
一目で、生身ではないと分かった。
白黒写真のように、色をなくした姿は、こちらなど見えてはいないよう。]
……ふん。
個体が識別できればどう呼ぼうが構わんだろうが。
教師ってのは全くもって面倒な生き物だ。
この村に必要なのは、外の血だ。
知ってるか?人の身体ってのは、90日で生まれ変わるそうだ。
人も村も、変わっていかねばやがては腐り死に至る。違うか?
おや。まるで脅しのように聞こえるが。
高潔なセンセ様の言葉とは思えませんな。
[冷たい笑みを浮かべて、腕に伸ばされた手に逆に手を伸ばしました]
[おびえる様子もなくヨシアキを見返す]
ええ、脅しですよ。
私は別に高潔でもなんでもありません。
個体識別が必要ならば、石木とでも呼んでください。教師はもっと立派な方々がたくさん居ます。
私はただのデモシカ教師です。
古くからあるからと腐っていたら、人間なんてとっくに滅びてます。歴史を見ていれば。国を滅ぼすのは侵略です。革命という名の下に、国を荒らすもの達が居ればさらに容易い。
そう─…あなたみたいな。
[捕まえた。
伸ばした手のひらに確かな手応えを感じた瞬間、空気が重くなった。
水のなかに潜ろうとする時のような、微かな抵抗感。
それはやがて、自分の背を押すような流れに変わる。
捕まえたのは自分ではなくて、ずっと自分を読んでいた声の方であることに、依真里は気づいた。]
恫喝に嫌悪を抱く発言をし、自らはそれを行う。立派な教師様ですな。頭に二文字付け加えて。
[ザクロの腕を取ったまま引き寄せ、挑発的な瞳で見つめます。口元に笑みを浮かべて]
今度は歴史の講義か?くくっ。よく知ってるじゃないか。
……今から400年程昔。この村は争いの渦中にあった。そして、鬼がいたそうだ。
聞いたことはないか?
[手首の違和感が不意に強くなる]
誰?
[強く掴まれた気がして。そして]
君は……。
[見知った顔が目の前を掠めた……と思った]
私が言っているのは、子供や老人を巻き込んで、むやみやたらと脅かすなということです。
脅したり暴力を振るうなら、必要な人間相手にするといい。痛い目を見るのは自分かもしれないけれどね。
鬼…?
[予想外の言葉に眉を顰める]
ウミ先生がそんなことを言っていたような気がするけれど、400年前は戦国時代じゃない。
あなたは、神隠しが鬼の仕業だと思うの?
ところでこの手はなに?
[ヨシアキの手の上に手のひらをのせて、今更のように尋ねた]
[あっ、と思った時にはもう、手のひらは空だった。
抵抗感を感じた時に瞑ってしまった目を恐る恐る見開く。
掴んでいた筈の手も、その先にあった確かに生きている体も、今はどこにも見当たらない。
見えるのは、一見いつもと同じ、でも確かに違う花壇。
永嶋の手を掴もうとした時、踏んで汚した筈の土は綺麗に整えられたまま。
ここは、自分のよく知っている村だけど、まるで違う場所だ。]
永嶋さん、戻れたかなぁ。
……ん。
[少し、まどろんでいた。机の上に組んだ腕から顔を上げ、ぼんやりと辺りを見て]
……ああ。
そろそろ、行ってくるか。
外の様子も見てこねばな。
[壁時計で時刻を確認すると、鞄を準備して診療所を後にした。ゆっくりと道を歩き始め]
まったく、お優しいこって。
[首を横に振り、肩をすくめます。他愛ない話に興味を示したことに、意外そうな表情]
鬼の仕業だとは一言も言ってないが……いや、ある意味そうとも言えるか。
……それはこっちの台詞だ。最初に手を出して来たくせに。恐ろしい女。
[石木の手を放しました]
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