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[そのあとは、暫くアルマウェルの作業を見守る。
先刻己がかけた毛皮へ、ビャルネの血染みが浮く…]
…そうして、容易に己を出せぬ使者は。
この村が喰い尽くされてしまったなら
…どこへその知らせを運ぶつもりなのだかな…
[独り言めく呟き。死せる者はもう血を流さない。
生ける者はしろい呼気を風に流して、やがて離れ*]
………折には温かいお茶を煎れます。
[お待ちしてますと言う代わりに肯定を示す言葉を囁き、口にするのは来訪者へいつも出す夏の間に摘んだ森の奥の蒼い木の若芽の茶の事。カウコの腕から伝い落ちた血へ視線を落として、血は乾かぬのだろうかと彼の腕と彼を見る間]
すみません…―――
[断りなのか謝罪なのか囁き、厭われなければ血を落とした彼の手に触れ、血に濡れるのも厭わず握っただろう。触れるとも触れずとも落ちる血に濡れた手を引き、握りこんで軋みそうな所作で小さく頭を下げた]
[自らの体を見下ろせば、切り裂かれた喉が、
ナイフがうがった傷口を見せている。
周囲にいる生けるものたちを、注に浮きながら眺めていれば、どこからか声が聞こえ。]
――ドロテア、おるのか?
[ふ、と意識を向ければ、血染めの花飾りをつけた娘の姿が見えるだろうか。
カウコが長老へと報告にいくのも、
トゥーリッキが自らの杖を持って行くのも。
すでに死した体を埋められようとするのも、意識の一部で認識しながら。
ゆらり、漂う。]
――さっさと行動してしまう方がおかしいだけだ。
だから臆病とか、寄せ……。
[慰めではない。けれど今はそれしか言わない。
問いは今はゆるく頷いて、来訪の赦しを得たなら一度テントから出ようかと想ったところ掴まれた腕に]
―――っ、……、
……先に、血ぃ、何とかしてくるわ――……
[小さく息を飲む。
声は抑えても掴んだ当人にはビャルネの血でないことはわかっただろうけれど。]
何も、言うな、後で行くから――
[小さな声で添え置き、テントから出て行く]
[――蛇遣いは、長老のテントを訪ねなかった。
惨劇の場へ居合わせたか居合わせなかったか、
記憶に定かでなかったヘイノとラウリを訪ね…
それぞれへ、僅かばかりの差し入れを届けた。
ストーブの上へかけっぱなしだった芋と鱒の塩煮は
食べ頃より少し煮詰まっていて…まあ食えるだろと
常から食に関して大雑把な蛇遣いは言い訳めかす。]
…後で、アルマウェルが来ると思う。
[別れ際に添える意味合いは、それぞれが知る――]
……目立った方がやり易い事が多い、というのはある。
しかし、そうだな、……
[トゥーリッキに返す言葉は、是とも否とも言い切らない、確かな理由は語らないもので。近くから調達してきたスコップで雪を掘りながら。その手に持たれた飾り杖を一瞥し]
知らせるなと言うなら、知らせるまい。
[一つ目の頼みには、すぐに応え]
……嗚呼。
そうしようとしたならば、止めよう。
居合わせられれば、の話だが。
[二つ目にはほんの僅かな間を置いて応える。矛先を向けるかもしれない、などと言われても、顔色は変えず]
……
[スコップの縁に足をかけ、半ば凍ったような雪を掘り進めていく。トゥーリッキの呟きは聞こえたか否か。どちらにしても、淡々と作業に勤しんで。
トゥーリッキが去った後、現れたレイヨには]
……わかった。
その事も共に、伝えに行こう。
[一旦手を止めてその姿を見る。告げられた内容には目を細めてから、頷き、伝達の旨を了承した。
それからまた、作業に戻り――そのうちにビャルネから少々離れた場所に出来上がる、人間が一人入る程度の穴。ビャルネの体を抱え上げると、穴の中にそっと横たえた。その時の男の瞳は、どこか寂しげでも、同時に優しげでもあったか。寒さで既に固まりかけたビャルネの手と手を、胸の上で組み合わせるようにして]
― 自宅 ―
[ビャルネの血がついた上着は床に脱ぎ捨てたまま、包帯を解き、開いた左腕の傷にはアルコールをかけるだけの処置。
自分がつけたものより少し大きくなっているのには苦笑。]
詫びは入れない――今はまだ。
[止まりきらない血はまた少し包帯に染みを作るけど、巻き直せば滴るほどでもない。]
もつんかね、この調子で次にいって。
[時間は限られている――マティアスに使った呪はそろそろ効力を失う頃。]
尽きる前には、居ねぇかな、俺は――。
[疑われて当然の行動だ、と思い返しつつ、着替えて一度だけ大きく息を吐いてから外へ出た。]
[携える書士の杖は、水平に手にして在れば
しゃらとも音を立てることはない。縋らぬ杖。]
"49"、…まだ戻らんかね。
[――やがて訪ねる、マティアスの小屋。
長老のテントへ向かうと別れたきりの彼は不在か、
戸口の厚い引き布越しに、 あん と声がする。]
…
そうだな。奴ではない。
だが腹が減っているというわけか。了解した。
[別段声に出す返答する必要もないことを呟いて、
蛇遣いはマティアスの留守宅へと躊躇わず入りゆく*]
[瞼が開いていたなら、それも閉じさせてから。スコップで雪をかけ、ビャルネの体を埋めていく。傍にあった血痕は早くも薄れかけていただろうか。穴を埋め終えると、その上に小さくビャルネの名を記した。程無くして消えるだろう、仮初めの墓碑。微かに赤が混じった、指による痕。石を一つ、横に置いておき]
……嗚呼。
[コートに幾らか付いた血は、やはり目立たず、多少の臭いを纏うばかりで。斑に赤で染まった白い手袋のみを変えに、小さな己の小屋へと戻った。その後、男は改めて任に向かう。ビャルネの死を、彼が無実だと言う者がいるという事を、伝達する任に**]
…――――
[怪我をしているらしきカウコは何も言うなと言うから、彼の言葉を踏み躙ってまで語れる言葉を持たない。テントを去るならば後姿を気遣わしげに見送り、テントに残る者と長老を見回した]
…狼を嗾ける者があるなら―――…
[届けるべきと判断した報せを伝えたアルマウェルは今頃、ビャルネの遺体を埋めているのだろうか。供犠の娘とて彼らの意思が狼に喰わせたのかも知れぬと、長老の言葉に言外に添えるのはそんな想い。
他に交わす言葉があれば少しは留まり、暫くすれば目礼を置き場を辞す事を示す。マティアスの姿があれば去り際に近寄り、彼の顔を見上げる]
マティアス…―――
[男の家の扉に鍵はかかっていない。
トゥーリッキが扉をあければ、飛び出す子犬の尾はちぎれんばかりに振られている*]
見えぬ分も聞こえるなら…
貴方におおかみの声はどう響くんでしょうか。
おおかみは喰らった者の声を…―――
[聞くんでしょうかと、零す声は語尾をあげぬ囁きに留まり、場を辞すのは気配が伝えようか。キィキィキィキィ…―――長老のテントを出ると曇る眼鏡を袖口で拭い、石のひとつ置かれただけの墓を見た]
きこえる…
こえが、きこえる…
[狼の遠吠えはなくとも、墓の前で明けぬ夜を仰ぎ零れ落ちる掠れた声。キィキィキィキィ…―――車椅子に座す求道者は、カウコを迎えるべく自らの小屋へ向かう*]
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