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っ……
[脳内に響いた声にこめかみを押さえる。確かにカナメの物だが、酷く金属的な硬さを持った、神経を抉るような響き。
「貴方が生き延びる方法は――」
「これが、 。
これからが本当の ですよ]」
……う、……
縁起でもない事を……
[振り切るように首を横に振った。ペケレらの方に走るユウキに気付くと、緩慢な歩調で近付いていき。目に入ったのは]
赤い花……?
アン……
レン?
アン、という人には会った事がないが。
レンは……今まで、此処にいたのではないのかね。
[先程ルリが呼んでいた声を、遠くも確かに視界の端に映った姿を思い出す。二つの赤い花を見据えながら]
……プレートに。
名前が書かれている、のかね?
[誰にともなく問うような、確認するような言葉は、空気に溶けるように語尾が掠れ]
墓碑に……
[ペケレの呟きに返すような呟き。
赤い花や扉より少し離れた位置、それ以上進みもひきもせずに、立ち尽くし]
[プレーチェやバクの声が耳に入れば]
手向けるとは、神や仏……死者に捧げ物をする事。
旅人にはなむけ……贈り物をする事。
[視線は赤い花に向けたまま、穏やかだが響く声で二つの意味を口にする。
ふらりと墓碑に近付いては、新たに増えたプレートを、そこに刻まれた名前を確認した。天井を見上げてから、目を閉じて]
[己の部屋へと戻る足取りは重く、半ばも行くか行かないかのところで止まってしまった。壁に背を預け、そのままずるずると座り込み]
……カナメ。
[俯き、呟くようにそれを呼ぶ。返事があったかないかのところで]
カナメ。
[もう一度、呼んでから]
何だか、何かを思い出せそうな気がする。
何かを思い出しそうな、気がする……
気持ちが悪い。頭が痛い、……
[弱い声で続ける。ぐ、と拳を握り締め]
どうしたらいい。
こういう時は、どうしたらいいのか……
教えてくれたまえ。
苦しい。
思い出せそうだというのに、酷く苦しいんだ。
[すがるような問いにカナメは沈黙の後、返す。「思い出さなければ、いいんです」と。
どことなく遠く聞こえるそれに]
駄目、だ。思い出さなければ私は……
私は、私が誰だったか思い出せない。
「貴方は、ライデンですよ」
私は……
「忘れてしまいなさい」
思い出したいんだ、
「思い出す事が幸せとは限りません。
……気分が悪いのは、頭をぶつけたせいでしょう。
あのドクターに診て貰った方がいいのではありませんか?」
[話をそらすカナメの声は奇妙に優しく]
……Since brass, nor stone, nor earth, nor boundless sea, But sad mortality o'ersways their power,……
[今度は歌ではなく、台詞のようなものを口にして。カナメの囁きに誘われるよう、そのまま目を閉じ、通路の半ばで*眠り込んだ*]
うむ、すまない。
次からは部屋に戻って寝るように心がけよう。
[少し身体を起こして一旦座り直しつつ。バクの問いかけには、やや考えるような間を置いて]
そうだな、……
何か見たような気もするが……
ただの気のせいかもしれない。
だが、……いや。
[口元を押さえ、一度、横に首を振り]
恐らく何も見なかった、のだろう。
……君はまだ、夢は喰われたままかね?
心配させてしまったようで、すまないね。
少しばかり気分が悪くて……
だが、今は大丈夫らしい。
[夢の話には、ふむ、と]
成る程。
それならば、実際に夢を見ていたのなら……
少しは思い出せてきている、という事になるだろうか。
とはいえ、見たかどうかもわからないのではどうしようもないが。
[獏というのには同じ名を持つ少年をちらと見つつ。腕を組み、思考を巡らせるよう]
散らかったもの……か。
[訪れたプレーチェに、やあ、と声をかけ。バクに手紙らしきものを手渡す様子を、座しているため見上げる形で眺める。続けて高い足音と共にやってきたペケレに]
やあ、今日……っと。
[写真を撮られれば少し驚いたように。アン、赤い花、という単語が聞こえて、一時、憂鬱げに目を細める]
レンは……
[ミナツの声が聞こえれば、コートの肘を緩く握り。頭に響くカナメの声に]
わかっている。……も……
[小さな声で独りごちるように返し]
書いた覚えが? そうなのかね。
[ユウキの返答に耳を傾ける。彼に一枚の写真を見せようとするペケレの様を眺め]
[記憶がないのにレンの事が手伝ってか、少々遅れて声を発する。
暫くの間周囲の会話をぼんやりと聞いていたが、そのうちに立ち上がり]
失礼。
もう少しだけ寝てくるよ。
[誰にともなく言い残して、その場を*後にした*]
[部屋に戻ってから、衣服の入っていた木箱に腰掛け、向かいの壁を遠く見ていた。眠り直すとは言ったが、いざ眠れる事もなく]
11018年……
[呟くのは写真の裏に刻まれていた年号]
あれが本物だとして。
私は……彼らは、一体どれだけの間眠っていたのだね?
[「知っても仕方がない事です」と、カナメが教える事は当然のようにない]
本当に何も教えないつもりかね。
そうだろう、君は。
私に記憶が戻らないように、と、考えている……
過去の全てを隠してしまおう、と。
「そんな事はありませんよ」
なら何故何も答えないのだね?
自然に思い出すのを待っている、などとは言わないだろう?
……、
[問い詰めるような口調。ふ、と息を吐き]
すまない。少々熱くなった。
だが、何一つとしてわからないままでは……
おかしくなってしまいそうだ。
[おかしくなる?
いいえ、貴方は――]
[途切れるカナメの声。暫し待っても言葉は続かず]
……? ……まあ、いい。
君は……私に役目を伝えただろう。
それを果たす事で記憶が戻ったりはしないのかね?
「可能性はありますね」
また曖昧な事を。
[ふう、と溜息を吐きながら肩を竦め]
もう一つ確認するが……
……私の役目は、本当に正しいものなのかね?
「と、いいますと?」
間違った役目では、ないのかね。
「そんな事はありません。
確かに正しいものですよ」
本当かね?
[ええ、と肯定するカナメに黙り込む。何度重ねても同じように上滑りする問答。立ち上がり、部屋の外に出て]
Ten little Injuns standing in a line.
One toddled home and then there were nine.
[静かな通路を歩きながら、無意識のように歌を紡ぐ。有名な詩に節を付けたもの]
Nine little Injuns swinging on a gate,
One tumbled off and then there were eight.
[どこかこの状況に重なるような]
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