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失礼しました!
村の定員と人数を合わせそびれていたので
改めまして手動開始です。
以降、村建ての出番はありませんので今後の進行のアナウンスです。
吊発生日には人狼さんを吊ってください。
そのため人狼を引いた方は二日目にはメモ等でCOしていただけると大変助かります。
一日目を終える日は6/6(土)の23時です。
どうぞごゆっくり夕焼け色の図書室をお楽しみください。
[再び机に伏せってぼんやりとしていると、静かな空間に響く鈍い音。
何の気なしに目を向けると、どうやら席を立ったらしいよく見る顔だった。
その女学生は本棚の影へと消えてしまい、何を見るでもなく視線を彷徨わせる。
寝ている間はいいのだが、起きてしまうとやることがない。]
[本を読んでいない生徒も少なからずいるらしい。
何をしに来たのだろう。
そんな疑問が浮かんでは消えて、また振り出しへ戻ってしまった。
ふと、視界に入ったのは目に慣れない車椅子。
図書室の中でもひっそりとしたそこに、なぜかある車椅子。
ここからだと誰が乗っているのかよく見えなかったが、校内で見かけたことは何度かあった気がする。
それだけで、興味を抱くには十分だった。]
[席を立とうとして、思いとどまる。
……興味本位で、どんな顔なんだレベルで見に行くのは失礼なんじゃないか?
いや、本を探す振りをして覗けばいいじゃないか。
そうは思うが、体は動かない。
元々野次馬などをするタイプの人種ではないからか、段々と興味のよりも面倒さが勝ってきてしまう。
もう少し見てるか。
そう思ってブレザーの袖に頬をすり寄せた。]**
…ふっ…くっ…
[図書室では静かにするのがルールだ。
できるだけ声を出さないように。
できるだけ音を立てないように。
わかってはいるのだけれど、必死になればなるほど声の混じった息が漏れてしまう。
車椅子が本棚とぶつかって、音を立ててしまう。
騒音というほどではなくても、静かな場所では意外と気になるものだ。]
(ああ、もう…!)
[届きそうで届かないもどかしさ。
不本意に音を立ててしまう気まずさ。
苛立った様子で動かない太腿の上に腕を振り下ろして、恨めしそうにその本を見上げた。
あと30cm近づけたなら、きっと届くはずなのに。
この車椅子が邪魔だ。]
…はあ
[諦めたようにため息をついて、校庭の見える窓際まで移動すると、外に目をやった。
陸上部が短距離のタイムを計っている。
あんなふうに思い切り走るのは、どんな気分なんだろう。
気晴らしのために窓際に移動したはずなのに、なぜだか悲しくなってきた。]
「君さあ、コウサカ先生と仲良いよね」
カウンターの奥で分厚いハードカバーを読みふける委員長が、独り言じみてつぶやいた。彼女は僕のひとつ先輩で、今時珍しい、きつく編んだおさげに黒いセルフレームのメガネという図書館女子のイデアのような存在だ。
「仲がいいっていうか」返却作業の手は止めずに、僕は答える。誰かさんが働かないせいで、処理すべき本が目の前に山積みにされていた。窓の外はそろそろ夕暮れの気配が近づいている。下校時刻も近い。「まあ、趣味?が?近いし?」
コウサカ先生は図書室へも足繁く通っていた。司書の先生によると、自然科学に関する蔵書はほとんど読み尽くしているらしい。僕が作業をしているところへやってきては毎度おすすめの本やらを置いて行くし、まえに勧めた本の感想を尋ねてくるものだから、僕の読むスピードもかなりのハイペースになっていた。
「最近の学生は、あまりこういうのは読まないからね」いつだったか、先生はぽつりと言った。「ファンタジーなんかはどうにも苦手でね、まあ、SFやミステリーなら、多少は読むんだが」僕も同じだった。「エンデは挫折しました、なんか読みきれなくて。映画も観てません」「そうだろう」「クリスティなら全集読みましたけど」「僕もだ」あの時、心なしか嬉しそうにした先生は、同好の士を探していたのかもしれない。
「知ってる?あの先生の奥さん、元々ここの司書だったんだよ」委員長は読みさしの本をぱたんと閉じ、鞄にしまいながら言った。「へえ、初耳ですね」この一年半、そういえば家族の話は聞いたことがなかったような気がする。「うちのお姉ちゃんに聞いた話だけど、すっごい熱烈アプローチしてたって」「全然、想像つかないですね」「でしょ」
話の落とし所を見出せない僕は、わざと作業のペースを上げた。「君は?」唐突に、謎の問いかけが挟まる。「はい?」思わず手が止まる。「私の知る限り君毎日いるし、誰かお目当てでもいたりするのかなー、って」委員長は室内をぐるりと見回した。
その言葉の意味を理解するのにたっぷり3秒を必要とした。僕は二回、瞬きをして、深呼吸。吸い込んだ空気はそのままため息になった。
「んじゃ、あとよろしくね」と言い残し、委員長は去って行った。あとも何も、最初から僕が一人で作業をしていたからその言葉はフェアじゃないな、などと考えながら、僕はいまだ山積みの作業を終えるのにかかる時間を頭の中で再計算していた。
[「ちょっと男子ー!」
いや、私はそういうキャラじゃない。
「まあ待ちたまえ、何があったんだい」
そういうキャラでもない。
それに、近藤さんといえば車椅子で有名だ。私は向こうを知っているかもしれないけれど、あっちは私のことなんて知らないかも。どっちが悪いかなんて分からないし見てもいないのだから、私は何も見ていない。そう、それでいいのだ。
何だか相手の男子は頼りなさそうだったけれど、助けを求められたわけでもないし。目を逸らして別の方を見る。]
[私はもともと、そう派手な人間じゃない。友達の中でもいちばん地味だという自覚もある。明るくて人気のあるナオはみんなから好かれてるし、弦楽部のハツネなんて男子からも女子からもすごくモテる。……もしかしたら、幼馴染のあいつよりも地味かもしれない。眼鏡の癖に生意気だぞ。
頭の中でぐーるぐる。
誰にも言わない思いはコーヒーとミルクみたいに混ざっていって、変な自己嫌悪かはたまた八つ当たりか、することもないしぐるぐるとその場で回ってみたりして。目が回ってきた。私は何をしているんだろう。]
…別に。
[不機嫌な表情のまま、探し物かという問いに反射的に答えて、少し後悔する。
探していた本のことを話せば、取ってもらえるかもしれないのに。
できることは自分でしなさいと言われて育ったせいか、人に助けを求めるのはどうも苦手だ。]
気をつけた方がいいですよ。
あなたにとっては見てるだけでも
このご時世、セクハラとかストーカーとか言われかねませんから。
[気取られないようにと焦って、さらに皮肉を口走ってしまう。]
・・・・・・
[そのまま沈黙。
なんだかこちらが悪いことをした気分だ。
いや、実際、彼は見ていただけなのだから、何も悪くないのだけど。
完全に八つ当たりなので、むしろこちらが謝るべきなのだけど。]
…っ
[ごめんなさい。
喉まで出かかった5文字を、結局飲み込んで。
慣れた手つきで車椅子のハンドリムを回しながら、そのまま図書室の出口へ向かった。]**
[まあいいか、どうせもう話すこともないんだろう。
クラスが同じというわけでもない。
ただ、よくここを使うというだけだ。
ここはお喋りをする場所でもないし、自分は基本的には寝ている。
話しかけられるということはほぼないだろう。
また机に伏せりながら、元の静けさに戻ったそこに一つ息をつく。
息苦しい空気から抜けられた安堵感と反して、胸中には小さなしこりが残った]**
悪いけど、コレ
あたしンだから
[摘み上げた指先には、
夕焼けの染みる白い封筒。
無事わたしの手元に返ってきたコレを持って
眉を八の字にしながら吐き捨てた。
八の字。勘違いしちゃいけない。
わたしの八の字は困り顔なんかじゃない。しかめ顔。]
[ちょっと声が大きかった気がするけど、
そんなことは些細なことだ。
……たとえば、勉強してる人、
ほかには、図書委員とか? 寝てたりする人?
そういう人にとっては全然些細なことじゃないだろうけど
九死に一生状態のわたしには、ともかく、些細なことなのだ。
だからわたしは逆に、
ある意味有名人とも言える彼女――
車椅子少女の周辺で起こったことは意識する余裕がなかった。
摘み上げた指先が震えないように
ぎゅっと力を入れながらクラスメイトのいる机から離れる。
離れて、本棚の陰へ、逃げ込んでしまおう。]
[ぐるりぐるり。
回る世界を見るのにも飽きてきて、足を止める。少しふらついたけれど、大丈夫。私のこういうところを、友達はときどき呆れるみたいに見てる。私は呆れられる、理解されない孤独さが心地良くて、たまにわざとこういうことをしてみる。友達が少ないのはこんなところに理由があったのかも。
足音が聞こえたように思って、くるくるする目を向けてみる。赤みがかった髪をしたあの子は、時折見る――いや、それよりこっちに――]
[どしん。
身体に衝撃が走った。
あ、倒れ――ない。今まで自分で思ってたよりも、私って丈夫だったりして。それよりも、ぶつかってきた相手が気になった。立ち尽くしたままか、転倒したか、ともかく少女の方へ向く。]
…………大丈夫?
[顔を見ようとして、先に。彼女の手元が夕方の空気の中、目を刺すように白く――]
[封筒?
図書館で、封筒?
この子は何だろう、たまに見たことはあったと思うけれど、図書館に封筒を持ち込んだりすることってあったかな? それに、こんな辺鄙な本棚の間に来た勢い。
この辺りには、本棚を見たら統計学とか財政って本が並んでいる。私は本の分類については全然知らないけれど、これって人気のある分野じゃなかったよね。
私は相手を心配するよりも、顎に手を当てて、ふうむと考えてしまった。名探偵ごっこ、なんちて。**]
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