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―― 派出所前 ――
やっぱりブタだ。
[先週からから働き始めた食堂。その配達中。
集金鞄につけてあるお守りが目に入ると昨年のことが思い出された。
ヨシアキの落し物である台本に挟まれていたあれそれ]
手紙、どこにしまったっけ。
―― 結城医院 ――
夕霧先生、いらっしゃいますか?
見て欲しいものがありまして。
[冷やし中華と、例の手紙を携えて開業医を訪問する。
名前が赤黒い線で消されたリストに、顔は青ざめたままだ*]
―神社近くの参道―
[屋台の準備をする村人の傍らに立つ男。
こしらえた生け簀に放されて行く小さな金魚]
「あれからなぁんも見つかりゃせんからねぇ。人の仕業じゃねぇって言う奴も、ぽつぽつおるわなぁ」
…神隠し、ですか。
[鮮やかな金魚を見下ろしながら呟かれた言葉に、屋台の男が作業の手を止めて目をやる]
「まぁ、あんまり滅多な事は言わん方がいいと俺ぁ思うけどな」
[その言葉に少し苦い笑みを返す]
盆踊りは。今年もやるんですね。
「そりゃ、盆にはたーくさん帰って来るからなぁ。迎えん訳には行かんしなぁ」
[水面で金魚が跳ね、ぴちゃんと小さく響いた]
―川縁・立葵の前―
穂澄加奈、下村吉秋、そして女性弁護士も忽然と姿を消した。
あれから一年。彼らの消息は依然として不明のまま…
また、盆踊りの季節が巡りきて――
[封書を団扇がわりにして、顔を煽ぐ*]
―― おあけなせ
―― おおかみ さまの
―― とおりみち
[つけた面は狐ににている、
が少し違う。この村独特のものだ。
あの夏の日から一年、あの日と同じ謡いを口ずさみながら、白地の浴衣のこどもの背は少し伸びた。茜色揺らし、振り向く。]
[生暖かい風と共に、聞こえてきた謡に耳を澄ます]
…これは。
[時間の感覚も、ここが何処なのかも、曖昧なまま。
吹く風に髪は揺れず*]
― 結城医院 ―
[午後の診察も終わって、お茶を飲んでいたところで。
注文していた冷やし中華を携えた来客があった]
やあ、チカノさん。
…………大丈夫かい?
[顔色の悪さに、心配そうに視線を向けた**]
……神様は友だちが欲しいのかな。
[蝉時雨。茜色揺らして 白い浴衣姿、くるり。
面の意匠はは“おおかみさま”と呼ばれている。]
ボクの友だちは帰って来なかったよ。
歌っても、帰ってこなかったんだ。
神様は、返してくれないの?
―立葵の前―
やあ、別嬪さん。笑顔が綺麗だね。
はは。ワタシはこの村の夏の風物詩といった所か。
[礼を述べ、水筒を受け取る。
蓋をとり、一口だけ中身を飲み、相手へ返した。]
くるくる、くらくら。
それ…なんだったか。迷い道の歌だっけ?*
―― ひまわり迷路 ――
4人もひとが居なくなるなんて。
[例の手紙をおみくじのように細く折りたたみ、ひまわりの茎に*結びつけた*]
今年も誰かがいなくなるの……?
うん。
……おじさん、去年も居たよね。
道 を知ってるの?
[躊躇いがちに問う。
神社の子供は、
言い伝えを半端に聞いているらしかった。
そろりと差し出そうとした手の上をひらひら、蝶が飛ぶ。]
探しに行きたい。
― 一年前 ―
[>>1:43手を引かれるままに祭りの輪へと加わり――ふいと誰かの声を聞いた気がしてきょろきょろと脇道へとそれる]
誰か、いるの?
[問いかけに答える声はなく、けれどこの村に来たその時から、どこか遠くから声が聞こえる気がしたことが幾度か――それはアンという少女のものだったか、それとも別の誰かの…?]
気のせい、か・・・。
[祭りの輪へと戻ろうにもふっと意識が遠のくようで――]
あ…。
[一体何が起こったのかわかるわけもなく、加奈が行方不明だとの連絡をうけた家族のもとに残されたのは荷物と、現像に出されていた写真――モノクロの水芙蓉]
― いつか ―
[今がどこかも、いつかもわからずまどろみに身を浸すかのようで。
祭囃子が聞こえたならば、意識が浮上することもあるだろうか**]
[閉じていた目をゆっくり開く。
草むらのようなどこかフカフカしたところで寝ていたようだ。]
あれ...?
[確かもうじきこの町に来て2度目の夏祭り。
今抱えてる案件も山場を迎えたから息抜きに行きたい、と楽しみにしていた。
上半身を起こして周りを見ようとする。知らない景色が目に映る。
森だろうか。海の中だろうか。どこか幻想的な雰囲気だった。
さすがに目が覚めるまでいた町]
あ...
[体を完全に起こそうかというところでまた意識は闇に*沈む*]
[ちょうしっぱずれの旋律が耳をうつ。]
音楽は儀式。言霊は力。
くるくる唄うと、さて如何なることやら。
[向日葵の迷路へ出掛け、女学生は帰らなかった。]
ふふふ。
では。貴女の未来の素敵な殿方に、立候補しても?
[顔の下半分を覆うマフラーの上から更に封書でもって、口元を隠す。]
[わらいごえ]
ねぇお母さん、今年も盆踊り大会ってあるの?
[夏の暑さに項垂れるように、呟く]
だって人が三人も居なくなったし。
[投げ出した足許に、去年と同じく散らばる花粉]
[また手許に届いた封書を透し見て。
無造作に体を起こしては、向かう先にひまわりの花畑]
若旦那だなんて。
一体どんな経緯でついたあだ名かしら?
[すれ違う、顔見知りとなった子供達のからかう声に
小さく口角を緩めては、優しく空気を揺るがして。]
あの、不安げに呟いて居た女の子は。
今年もひまわりを見ることが出来たかしら?
儀式……
私が歌うから、神隠しが起こるとでも?
[小さく首を傾ぐ]
歌にそんな力、あるかしら。
[友達が帰ってくるようにというクルミの願い、歌は叶えてくれなかった。
あの日共に居たカナの行方、歌は教えてくれない]
そんな力、在ればいいと思うけど。
[口元を隠す封筒、やはり、と視線を地面に落とす]
ふふ。だったら、ね。
[立候補という相手の顔を覆う眼鏡に指を伸ばし]
その顔、見せてくださる?
その姿じゃあ……本当にアナタが「レンさん」かわからないわ?
[わらいごえ、に返すのは、弧を描く鮮やかな紅。
結局指は、相手に触れずに降りるのだが]
私は、ね。
神様は居ればいいと思う。
そうしたら……
捕まえてみんなを帰して貰うことも、出来るものね?
――――、うん。
約束。
[“おおかみさま”の面を持ち上げて見上げて、硝子の向こうの眼を見て謂った。
遠い祭り囃子。
不思議と蝉の声は途切れていた。]
[人影は陽炎のように揺れながら、すれ違う]
もう1年経ったのか。
それとも。
[もっと時間は流れたのかもしれない。
揺れる黄色い影は、ひまわり畑]
…こないと次はあなた。
誰が俺をここに連れてきた?
[ふつり、蝉の声がやむ]
[ひまわり迷路の前。
人生に迷いがちな姿が、長い影を作り出す。]
人狼童子、ですって。
一体どんな物語だったのかしら?
[消えた者が携えて居たと、噂に高い台本を手に。
懐かしむように目を細める。
自らの手は汚さずに捧げた身の存在を。
今は知る由も無く。]
まあ、ね。
神様の力に比べれば、劣るのだろうな。
[首を傾ぐ姿に、]
ただ。道をくるくるにするか、まっすぐにするか。
屹度、それくらいは……ね、……
ん、しかし……、
考えてみれば、”音痴”という宜しくない要素も関係するのだろうか。
[ぽつっ。相手に対して失礼までも口にした。]
ううーん。
[再び目を開け上半身を起き上がらせる。
今度は上手く起き上がれたようだ。
ゆっくりと立ち上がるときょろきょろとあたりを見回し、あてもなく歩き始める]
…顔を?
[弧を描く紅を前に、数拍の沈黙の後]
望みは繋げておきたいからなぁ。
では、これっくらいだが。どうぞ勘弁願いたい。
[指先で押し上げ、少しだけずらした眼鏡の端より、
ちらりと現れた瞳は、蒼。]
ワタシは、レン。いつもいつまでも変わらないよ。
[眼鏡を、元の位置へ戻した。]
ふふふふ。そうかい。良い心構えだ。
神様の捕獲に挑戦してみりゃ、いいさ。
[笑声の尾をひきつつ、盆踊り会場の方へと*]
[いつもの白衣姿のまま、くわえタバコで屋台の間をふらりふらりと歩き回る]
景気はどうだい?
[射的やわたあめなどの屋台を開いている古い友人に声をかけ。
そのまま二言三言話して、ふらりと次の屋台へ]
こどものはなし?
[一度だけ見憶えのある、
そう、去年自分だけはひまわりの約を
一方的に結んだ相手に微笑み]
かみさまに近いもの、かしら?
[嘯く]
だって、童って、こどものことですよね……?
[ふと、祭で謡うクルミのことが頭を過ぎる]
かみかくしは、こどもの悪戯なんでしょうか。
[ゆっくり地面を踏みしめて、迷路の入り口に近づく。
ゼンジの顔をまっすぐに見上げた*]
川倉千代衣並でしょう。
[失礼な物言いにも、めげずに胸を張る。
頑なと思っていた。
だから眼鏡がずらされれば、呆気にとられて蒼色を見つめた]
……。その瞳に免じて、信じてあげる。
[再び弧を描く紅は先ほどより緩く。
笑い声にふと、手紙が示す「場所」は、神様のところだろうかなどと思ったりした]
[から、ころん。
おおかみさまのお面をつけて駆けていく。
ぴちゃん、と金魚の跳ねる音。
今年も祭りは恙無く開かれ。
ひらり、あげは蝶が舞う。
丁度屋台を冷やかしていた白衣姿の横を茜色はすり抜けた**]
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