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でも「こーひーぼーる」だなんて、アナタ誰から聞いたの?
[グラスを扱う手にはハンカチ。
お供えと聞けば先代から譲り受けたレシピ、ぴらぴら捲る手を止めて]
お供え、もうそんな時期か。
そう言えばおねぎちゃんがトリュフチョコ、美味しそうに食べてたわあ。
ま、あの人が美味しくなさそうに食べてるところなんて見たことないけどね。
[店の奥から響く声にびくりとしたら、注いでいた炭酸がグラスから溢れた。
慌てて布巾をかき集める]
え、あら、だ、大丈夫よ。
慣れたもの、指紋のふたつやひとつや……ええと。
[パオリンと合わせた目は多分動揺ありありとしていて。ただ両手に持っている食べ物を見れば]
アナタも美味しそうに食べるわよねえ。
[感心したように言った]
おねぎさんか、なるほど?
[バクの答えに目を細めると、綺麗に拭き直したグラスをカウンターに置いて……コースターの向きもきちっとまっすぐに置いて、どうぞーと手で示し]
キノコのチョコ? あらん、アタシ食べたこと無いわ? ……の山のなら美味しいんじゃない?
おねぎさんなら……あら、そういえば遅いわねえ。
[忘れっぽい男はようやく来店の約束思い出し、腕時計を見る。しかし腕時計は止まっている!]
おねぎさんが?
[くりくり動く双眸に、ぱちりと瞬きを返す。
小さな嫌みに言い返すのも、食べ物に向けられる情熱にも、後回しにされるお供えさえも、つっこむ間がなく]
腑に……確かにそうだけれど。
え、それじゃ……
[布巾を持つ手が、忙しなくカウンターを拭く。
震える声に、問うような視線をバクにも向けて]
今晩のお料理のお代、誰が払ってくれるの!?
[心配するところを*間違えた*]
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