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― 1967年8月14日 ―
[ハツネとゼンジ、二人の様子が何だかおかしく感じられ、背中が寒くなった]
ドウゼン先生……
ゼンジさんが具合悪そうなんです。
[去年もこんな風にしていたら、その夜に三人も消えたのだ。
そんなことを思い出しながら、エプロンのポケットに手を入れる。
古い古い、護符を握り締めた。それは、口の達者な悪戯っ子にあげようと思っていた*紙切れ*]
やめてやめて、そういうの駄目なんです。
[墓参りの場でご近所さんに聞いた噂話。
あの、かみかくしのあった未明のこと。
神社の近く、夜明け前にも関わらず朝顔が咲き誇る一角があった。おかしいなと近づくと、白い狐がいたのだという、誰が言い始めたのかわからないそんな話]
大体、何で夜中にそんなところ出歩いているんですか。
あんなことがあったのに!
[両腕をさすって、首を左右に振る]
― よろず屋 ―
あんなことが、あったのに。
[ひとりたたずむ畳の間で、父の遺品の灰皿に護符を置いて火をともした。
塩などひとふりしてみたり]
……おみくじに紛れさせて結んで来たほうがよかったかしら。
[蝉の声が重なる。
精霊馬の向きは昨日と同じ向きのままだ]
ネギー、ネギー、ネギたっぷりのカレーライスはいらんかねー。
[どちらがメインかわからぬ売り文句で、境内を練り歩く。
ふと、ぴたりと足を止めて振り返り、数秒後に首をひねった]
どこで聞いたんだったか。
[何の変哲もない鈴の音が、なぜだか懐かしく感じられたのだった]
ネギー、ネギー、カレーたっぷりのネギいらんかねー。
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