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[確かに、呼ばれた。
――マコト…ちゃん? と]
サクラちゃん、いるの?
[鏡の破片が四畳半に散り広がっていた。今まで薄暗かったのが嘘のように、抜けた天井から差し込む光で埃がきらきらと光っている。
まるで雪が降ったよう。
そして降り積もった雪のふりをするのは、1階床を突き破って落ちてきた、布団部屋の布団だった]
みーつけた。
[あのときは、サクラちゃんが言った。
記憶の中の言葉をなぞる。
布団部屋の中の、そのまた奥の押し入れの中に縮こまっていた自分。
ふすまをすぱーんと開けたのは、見たことのない少女。
お互いに始めましてのはずなのに、彼女は全然遠慮がなかったんだ]
馬鹿だなあ。
[ごし、と袖で目元をぬぐう。
埃が目に入ったんだよと、心の中で言い訳しながら]
すごく、寂しかったのに。
[おめでとうって言ってくれた、サクラちゃんの顔をみたら]
なんにも言えなかったんだ、あのとき……
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