[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
―商店街―
[級友達と騒ぎながらの下校中。
揺れるランドセルは空と思えば、今日は何か入っているらしく。
皆一様に目を怪しげに輝かせて]
どこに置く?
『あの辺なんてどう?』
『おい、あれっ!』
[一人が指を指したのは裏路地に停められた一台の高級車。
子供達の顔がにいいいいと笑う]
せーっの!
[掛け声と共にジャンケンが始まって。
やがて一人が情けない声を上げた]
[実行犯に決まった級友にランドセルからブツを出して渡す。
それは、図工の時間に隠れて作った大作]
ほら、行ってこいって!
[小声で言って、実行犯となった級友の肩をとん、と押す。
実行犯はうん、と頷いてブツを手に車へそっと近づいた]
[はちきれんばかりのコーフンをそれぞれに抱いて、
目を輝かせて実行犯を見守る。
そして、犯行の決定的瞬間が…訪れる]
『べちいいいいいい』
[実行犯がブツを車のフロントガラスに向けて投げつける。
何かに似せて作った粘土の塊が、べしゃりと崩れて貼り付いた。
高級車は見るも情けない姿に相成れば]
やった!
[小声でガッツポーズをとっては満面の笑顔で実行犯を迎え入れる]
『こぉらぁぁぁぁぁぁ!!クソガキがーーーっ!
どこのヤツだぁぁぁ!!』
[向かいの不動産屋から車の持ち主と思しき男が
怒り狂って飛び出してくる]
逃げろっ!!
[口々に喚声を上げて皆が違う方向へと走って逃げた。
そう、こういうときは固まって逃げてはいけないのだ。
それに、集まる場所は決まっている]
…ぷっ。くはは、あははは!
[何が面白いわけではないが、面白い。
一人家路を走りながらけらけらと*笑った*]
―自分の家―
ただいまー…。
[秘密基地で散った友達と合流して
今日の反省やら次回の作戦を相談しているうちに
あたりはすっかり暗くなっていて。
お腹の空いた子供達は三々五々散って家へ帰っていった。
自分もそのうちの一人で]
かーちゃん、きょうはちゃんと晩メシも置いてってくれたな。
[鼻の下をこすりながら食卓へ座って、
一人だけの晩餐。
お笑い番組を見ては笑い、
トーク番組を見ては笑い。
いつしかくったりと疲れて寝っ転がったまま*夢の中へ*]
─オフィス─
…ぁ゙〜!!!
[がっくりとデスクに突っ伏す。]
ちっくしょ…フリズった。
…後もう少しで完了だったのに…。
なんでこんなときに限って中間で保存してないかなぁ…。
[やり直す気力も無く、ぐったり。]
-藍住中央公園-
[キィキィと一定間隔で鉄が絡む音がする]
――。
[規則正しく前後に揺れる其れは人気の無い闇で]
…お
[存在の前後を不確かにして、撫で続けるばかり]
[少し踏ん張ってふり幅を大きくする]
ぉぉ
[其処から見える景色は今までとは少し違う]
…っ、と
[更に踏ん張ったらもっと違う景色が見れるだろうか]
…っ……っ。
[深夜も1時を半ばまで回った頃合に]
[一人、ブランコに夢中になる女が居た]
[体が揺れに合わせて空を切った]
[少し冷たい其れを気持ち良さそうに微笑んで]
――。
[かみ締める様に身を任す]
なつかし…。
[記憶は幼い頃に遡り、触れていた]
[本当にこうして漕ぎ続けるのは何年ぶりだろうかと]
[出来る限りの目一杯で漕いで見た世界は、
定期的に訪れる懐かしい世界だった。
幼き頃の景色とは恐らく違うだろう。
少なくも此処から見える公園のあの場所には
端から端までを滑車ですべる様な遊戯器具があった。]
――。
[其れが今は、もう無い。]
なつかしいなぁ
[撤去理由に思案し、一つの答えに辿り着く。
その答えに対し、寂しそうな微笑み一つ。]
タンヤオ七対子赤。64っす。
[煙草の煙に混じって、ジャラジャラといつもの音がする。親にはバイトだと言ってある時間で、俺は毎日ここにかよっている。学校で、成績はいつも上の下。運動は人並みよりちょいできる程度。別にぐれてるわけでもなく、何かに燃えてるわけでもない。目立ちはしないが浮いてもいない。教師も親も、頑張ればお前はできる!としか言いやしない。頑張れば何でもできるなら、誰も苦労しないっての。それでも、こいつだけは得意なんだ。仕事になるわけじゃないけど。自慢できるわけじゃないけど。それに俺、まだ高校生だしさ。ここって、高校生入っちゃ駄目なんだよ、本当はさ。]
4000オール。タンピンニ盃。
メンバーさーん、ラストー。
あ、俺帰ります。ツレと約束あるんで。
[席をたった俺は、換金を済ませて外に出た。道行く人達は、空気みたいなもんで。知り合いを見たって、きっと気がつかない]
今日は一万勝ち。明日はどうかねっと。
[ほぅと吐く息は白くなりだしていて、冬の訪れを肌身で感じている。それでも、毎日飽きもせず触る牌への情熱。この情熱が少しでも勉強に向いたなら、もう少しましな学生生活をおくれるだろうに。おっさん達を卓上で欺く度胸。それがスポーツに向いたなら、もう少し目立つ存在になるのかも知れないのに。不良グループとも無縁。真面目な奴等とも無縁。一匹狼と言えば聞こえはいいが、要は理解者のいない独り者。表面上は友達付き合いをしていても、心は誰も側にいない。少なくとも、俺はそう思っている。だから毎日、宛もなく街を歩いてるんだ。今を変えてみたくて。でも、変え方がわからなくて。]
欲しい物がないのに、金だけ貯めてもねぇ………
どっか遊びに行こうかな?
[財布の中には、おっさん連中から今まで巻き上げた金がそのまま残っている。他の遊びを知らないから、使わない金。]
明日は、一人で遊びにいける場所探そうかね。
[どうせ学校なんてつまんねぇしってのは毎日の言い訳。今日もふけた、と言うか打牌に夢中で忘れてた。そろそろ出席日数がやばいから、明日は授業出なきゃな…と毎日思っている。]
明日と言わず、今から行くか。
どうせ暇だし、帰るにはまだ早いし。
[ぴん……と五円玉を親指で高く弾く。それが転がって行く方に、歩いていく事にしたから。俺なりの元担ぎ。]
―放課後―
[掃除用具入れの奥に潜ませた今日のブツ
教室に残るのは自分達だけなのを見計らって取り出して]
おい、いるか?
『あー、うん、出てきた!』
[にいいいい。
皆同じような笑顔]
[一度、窓から身を乗り出してターゲットの位置を確認。
それは丁度隣の教室の窓の下に]
いくぜっ!
[厳重にビニール袋に封されたブツをさっと取り出して
くしゃくしゃのままのそれを手首のスナップを効かせて窓の外へ放つ。
牛乳がたっぷりしみこんだ、とびきりの逸品が広がりながら宙を舞った]
………。
………………。
[じっと声を潜めて帰りの支度をして]
『くぉらぁぁぁああああ!!誰だっっっ!!!』
[外から教頭の怒りに打ち震えた声が届く頃にはすでに廊下]
[サッカーボールを蹴りながら、イタズラなんてそ知らぬ顔で
教頭の傍を、そして校庭を駆け抜けて]
ぶっわははははははっ!
[堪えていた笑いをぶちまけた]
見たか?!教頭のカツラずれてたぜ!!オレってすごくね?
『見た見た!!テンゴさいこー!!』
[一仕事終えて朗らかな笑顔で向かうは、いつもの*秘密基地*]
[コロコロと転がっていく五円玉。それを追って俺は歩く。たどり着いたのは中央公園で、この時間であれば何人かの人影を見ることができる。転がる事をやめた五円玉を拾い上げ、俺は公園内に入っていく。近くにあったベンチに腰かけた時、携帯が鳴った。表示をみれば、同級生の名前。面倒だと思いつつ、俺は電話に出る事にした。]
うぃ、どした?ん………あぁ、いつもの連絡ね。
さんきゅさんきゅ。んで、どこまでいったわけ?
………ふーん、おっけ。わかった。
明日?あぁ、多分行くよ。ありがと。
[俺が学校をサボった日は、こいつが毎日電話をかけてくる。授業の進行具合を教えてくれたり、出席しなきゃやばそうな日は教えてくれる。なんともありがたい電話だ。軽い礼を述べた後電話を切り、鞄から教科書を取り出して読む。俺の勉強ってそれだけ。絶対評価様々で、俺の成績表はまぁまとも。だからこそ、親も文句は言わないわけで。]
べっつに一流大学に行きたいわけじゃないしな。
真面目に勉強するだけ損だ。
あーだりぃ。点数計算は得意なんだがなぁ。
[数学の教科書をめくりながら、特にわからない部分もないのにぼやく。別に誰も俺に期待してるわけじゃないんだ。今回も適当にテスト受けて。適当に大学受験して。適当な大学行きながら麻雀を打つ毎日を過ごすんだぜきっと。]
くだらねぇ。
因数分解を使った職業なんかあんのかよ。
微分積分が出来たら就職有利なんかよ。
必要な奴だけが必要な勉強してりゃいいんだっつの。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ