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[それよりなにより問題は]
あいつ――
[ノイズが減ったせいでよりはっきりと聞こえるようになった会話の、内容。声の主]
……。
[思わずがり、と、爪をかみ切った]
[規則正しい音は、意識を深い所に沈める。
粗末な毛布と言えども、女にとっては心地の良い温もり。
その眠りを妨げるのは、遠い客車で行われている秘宝の争奪戦の騒がしさ――。]
私の眠りを妨げるのはなぁに?
[争奪戦から落ちた女にとっては、もう無関係な喧騒。]
[声の主がそこにいるかのようにスピーカーを睨み付けていたが、>>9 ふと聞こえた声に表情を戻してそちらを見やり]
『起きている人間に眠りの神は囁き、眠る人間に死の神が微笑む。だから人々は死を恐れ眠らぬように夜通し騒いだ』
[何となく思い出した台詞を、ぽつりと口にする。近くにオラヴィがいるなら、彼がこの部屋の主だろうから占い師の事は任せるのが良さそうかと思うが]
死を恐れてというよりは、ただのお祭り騒ぎのようですけどね。
[またこれも、独り言めいて]
死を恐れない―…‥
つまり神を恐れない―…‥
『La Maison Dieu-神の家』の逆位置ね。
[ふわりと毛布を頭から被り、甘い香りを周囲に漂わせながら、占い師の様な姿に――。]
死を、恐れない……
[ちらりと、自分の腕にしがみつく青い兎に視線をやって。
ふわり。まるで重力を無視したように広がる毛布が占い師を覆えば]
何か、見えますか?
[不可思議な揚力を感じた気がした。神の家……神など自分は頼らない、そう思っているが。ゆるり首を傾げて、聞いてみる]
何も見えないですわ。
だって見えたらつまらないですもの。
占い師の仕事は、一歩を踏み出す為のきっかけを作るだけ。
占いって、裏無いの言霊が隠されている言葉―…‥
[女はにっこりと妖艶に笑みを浮かべる。]
ほぅ、なにやらお宝争奪戦が始まりそうなムードであるな。
[楽しそうに言うと、占い師と指揮者にあついチャイを振る舞った]
そう、それなら良かった。
ワタシがこれからしようとしていることが「見えてしまう」のなら、困るところでした。
[つまらない、その言葉に、にぱっと笑ったが。続く言葉には、作り物めいたその笑みを納めて]
言霊……発する言葉が、言葉を発するモノが、自然と意志を秘めている……それに気づかせるのが占い師、なのかな。
[半分は、理解しそびれた表情のまま、首を傾げる]
[けれど、>>51 発砲音の後に聞こえた声にぎょっとする]
ウルスラさん……?
[名を呼ぶ、相手に聞こえるはずもないが]
ふふ、私が本当の占い師だったら、真理が見えてるかもしれないけれど―…‥、
私はし甲斐無い――ですからね。
[男から渡されたチャイのカップを礼を述べながら受け取ると、小さく首を傾げる。]
眠れないのなら、お薬か、香でも焚きますわよ。
安心して下さいませ。
永遠のではありませんから――。
目的も無く、殺める事はしませんの。
[優しい笑みを浮かべる。]
[銃声に顔をしかめ]
荒事は好きじゃないんだがね。
さて、ラウリ君のベットした彼女が撃ったように聞こえたが…、誰が撃たれたのかな?
[スピーカーに耳をすませている]
甲斐無し……その言葉、今回はワタシもそうそう譲れそうにありませんが。
[ついと差し出されたカップ、受け取るとたった一口口を付けて、オラヴィに礼を言う]
薬は、結構、香も、いりません。
オラヴィ卿、この列車、出入りは自由?
[返事を待つ間に、確認する。腕の兎、下げた剣、懐の楽譜、帽子を頭に乗せて]
[大事なモノ、今身につけているモノは、ほとんど「形見」だ。仲間内からでさえ、喪服の男と揶揄されるほど。自分にモノを与えた人たちは死んでいった。
そして自分は、その与えられたわずかなモノで生きて、生き延びている]
ふふ、大丈夫です。
これが形見になることはあっても、ワタシが先に逝くことはありません。
[これ、とポケットから取り出し見せたのは、オラヴィ卿がメッセージを託された黒い兎]
そうそう、ワタシがこうして無駄にあがけるのも、ケガ一つさせず拾ってくれたあなたのおかげです。お礼にひとつ、教えてあげます。
彼女は『トゥーランドット』が好きでした。特に『誰も寝てはならぬ』、なんてね。
[言ってから、にぱ、と笑って両手を広げる]
信じますか? 「友」よ。
[形見、との言葉に顎を撫で]
我輩が先に死ぬと申されるか!あっはっはっは、まぁ年齢的にはそれが世の常だな!
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