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……お、今年もやってんだ。
[差し出された袋、受け取った感触から中身は察しがついた。
ほんの少しだけ表情が和らぐのは、甘い物好きだから。
その辺りは、付き合いの長さから良く知られた事ではあるが]
……釣られる訳じゃねーけど、いつまでも言っててもアレだし、遅刻の件はチャラにしとく。
で? わざわざ呼び出すとか、なんかあったんかよ?
[首を傾げながら問いかけたのは、呼び出しの理由。**]
―駅前広場―
いいおてんきねー。
[適当なベンチに座り、二人で、市販のふりかけを混ぜ込んだ色とりどりのおにぎりと、ミートボール、タコサンウィンナー、それから、母直伝の、しらす干しとネギのはいった塩辛い卵焼きというお弁当を食べて、]
ぽーんぽんしよっかー。
[持ってきたラケットとスポンジボールを取り出した。]
ん? ああ、呼び出した理由、か…。
いや、その、な。
こんなことで呼び出すのもどうかとは思ったんだが…やっぱ直接話した方が良いかな、っつーか何で俺がこれを切り出さなきゃならんのだ、って気もあるんだが俺も無関係ではなくてだな……。
[歯切れ悪く言葉を紡ぎ、視線は上下左右と彷徨う。それだけで切り出しにくい話と言うのは見て取れるだろう。もしかしたら嫌な予感も与えたかもしれない]
だから、だな。
その。
お前に俺の妹との見合い話が出てんだが、どうする?
[時間をとって決意したか、はたまた先を促されて口にしたか。どちらにせよ、爆弾発言のような内容の言葉が紡がれた]
近所の見合いババアがさ、良い歳なんだからきちんと相手見つけて所帯持てって俺達の年代の独身連中にばら撒いてんだよ。
それでお前のところには俺の妹に白羽の矢が立ったっつーか。
勿論俺にも見合い写真来てる…。
[事情を説明して少しどころではない遠い目をする。妹とは2つしか歳が離れておらず、祐樹も全く知らない相手ではないため、見合いも何もあったもんじゃないのだが]
ああ、断るならバシッと断っても良いぞ。
俺の方から言っとく。
[こんな呼び出し理由に相手はどんな顔をしていたか。話をする間、自分も盛大に呆れた表情をしていた*はずだ*]
あー……ひまぁ。
[欠伸のしすぎで溜まった涙を袖口で拭った。
暇と言いながら他にすることもないのか、ポケットから携帯音楽プレイヤーを引っ張り出し]
?
[掛かった声に瞬いた]
[声の方を見る。
先程まで子どもと遊んでいた筈の母親がこちらへ向かって来ていた]
んー、なんか謝られるよーなコトしたっけ……?
[寝惚けた頭に疑問符を浮かべ、足元に目を落とせば小さなボールが一つ]
あ、そゆコト。
[それで合点がいった]
[取り出しかけたプレイヤーをしまい、空いた手でボールを拾って]
ほい、と。
[姿勢を正した時、相手との距離はどれくらいだったか。
軽く投げるか、直接手渡しか、とにかく渡そうとした**]
―― 数日前・自宅 ――
えーっ?
おばあちゃんが?
大丈夫なの?
[仕事から帰って告げられたのは少しばかり離れた場所に居を構える祖母が足の骨を折ったとの知らせ。]
それならよかったけど……。
また元気なつもりで無茶したんでしょ。
[命に別状はなく、本人もかくしゃくとしたものだという母親の言葉を聞き、ほっと息をつく。
明日にでも病院を訪れようかと算段していると、どこか浮かない母親の顔]
どうしたの?
……あー、風音荘か。
[祖母は自宅から通うのが難しい学生のために昔ながらの下宿を営んでいた。]
[案の定、母親の懸念はそれだったようで。]
食事の準備とかいろいろあるものね。
[仕事はあるもののそこは小さな店のこと、事情を話せば融通はきかせてくれるだろう。]
お母さんも仕事そうそう休めないでしょう。
交代でするしかないわね。
[祖母は何度一緒に暮らそういってもあの海辺を離れようとはしなかった。
入院中も気にせずにはいられないだろうから。]
すみません、ありがとうございます。
[職場へとかけた電話は快く受け入れられ、むしろ心配をかけてしまったよう。
電話を置くと、忙しくなりそうだと、ふぅと息を吐いた**]
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