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[何かに気付いたかのように、パタリと手を止める]
すみません。
[苦笑を浮かべて、唐突に謝罪の言葉を告げる。
目線を落とし、スケッチブックをやや乱雑にめくると、風が前髪をなびかせた]
[落ち葉を鳴らしながら、村に足を踏み入れる。]
ここですね。
[管理棟の入り口に掛けられた看板と、手に握った小さなメモを見比べ確認した。メモには少女以外の人間が書いたであろう達筆でこの村の名が記されている。]
どなたかいらっしゃいますかー?
[二度ドアを叩いた後、返事が返ってくると部屋の中に滑り込んだ。]
あの、今日からお世話になります鈴木です。
よろしくお願いします。
[管理人の姿が目にとまると頭を下げる。テーブルの上の一冊のノートに記帳をするよう促され、肩にかけていた旅行鞄を床に置くと、それを手に取った。]
わぁ、こんなにたくさん…。
[頁をめくると、数年前から名前が記されている。最後に記してあったものに倣って、名前、住所などを記入していった]
これでいいですか?
[ノートを渡すと、確認した管理人がひとつ頷き、管理棟を案内しましょうと立ち上がる。]
はい。お願いします。
[もう一度頭を下げると帽子がずり落ちる。慌てて脱いで片手に握ると、すでに先を歩き出した管理人を追うように足早に管理棟の*奥へ*]
[書き上げた報告書を綴ってしまうと窓の外に目を向ける。畑の向こうの丘に裸の桜並木がざわざわと枝を揺らせている]
戸が開けば獲って囲おうか、窓が開けば切って吸おうか。
[男は桜の並木を凝視しながら独特の抑揚に乗せて諳んじるように言葉を放つ。が、すぐにふんと鼻を鳴らすと身支度を整えて詰所を後にした]
[地図を片手に山道を歩き続ける男。やがて視界に入ってきた畑と寂れた家屋に口笛をひとつ吹き]
どうやら着いたみたいだね。
[周囲を見渡すと、煙突から煙が立ち昇る建物が見え、そちらへと向かっていく]
[管理棟の前へと足を進め、扉をノック。静かに中へと入り]
おや、誰もいないのかな。
[管理人の姿が見えないが、テーブルに置かれた利用者帳が目に止まると、すらすらと必要事項を記入していく。記入を終えると、利用者帳をぱらぱらと眺めた後、ぱたりと閉じてテーブルの上へと戻した]
しばらく待ってみるか。
[管理棟の中を物珍しげに眺めている]
お食事はこの居間ですね。
分かりました。
[管理人の後を追いかけながら、説明のひとつひとつに頷いた。最初の場所に戻ってくると、人がいることに気がつく]
あ、他のお客さんが来てるみたいですよ。
[管理棟に入ってきた二人に気がつく。後ろの人物に笑顔で会釈を返し、名前だけの簡単な自己紹介をすませる]
よろしく。
[管理人に、集落での注意事項を一通り聞いていた]
こちらこそ、よろしくお願いします。
[笑顔を向けられると、安心したように微笑み返した。管理人が先ほど自分も聞いた注意事項を繰り返すのを聞くともなしに聞きながら、窓の側に歩み寄った]
あの、泊まるのはあちらの方にある家ですか?
[説明が終わるころ、眺めていた風景の先を指差す。管理人は頷きながら、他にも何軒か家があることを付け足した。]
そうですか…なんだか怖そう。
[感想はノックの音と重なる。扉の方に視線は移り]
[依然として荷物を抱えたまま、ヨロヨロと管理棟に姿を現した]
管理人さん大変です。
家がどこなのかわかりません!
[予想外の人影に驚きの表情を見せた]
コンバンハ。
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