情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[あれからまた数日がたち。
山場を越えて疲れた編集者がゆっくりと路地を行く。
結局どちらともつかずふらふらといったりきたりしている男は、芸人や探偵の噂を耳にして首をかしげた]
……漉し餡にカエル?
[首をかしげて呟き]
思い出屋にあえたんだろうか。
[仕事で向かったテレビ局で見かけた芸人は、路地で見るときとは違った顔を見せているから、よくわからなかった。
だが、今日此処で会わないのなら、きっと会えたのだろうと、そう思った]
[唐突にはじまった犬の話に首をかしげ。
最後、というのはここに来るのが、という意味で受け取りかけたときに続いた言葉に僅かに瞠目した]
――君が、思い出屋なのか……
[どちらか一人だけだと謝げる少女の言葉に、モミジへと視線を向ける。
彼女が思い出を手にいれたがっていたかどうか、あまり記憶にない。
飲んでいたときの印象のほうが強いからだ。
心を決めては来たものの、二択をせまられるとは思っていなくて、悩むように二人を見た]
[対価をもっていないというモミジを見やり。
少女へと視線を戻す。
対価として用意したのは、ひとつの、古びた金貨。
他の人の願いをつぶすのは躇っても、相手が諦めたと聞けば望んでしまう]
俺が思い出したいのは――
両親のことだ。
[幼い頃に死んだ親についてはもう、覚えていることなどほとんどない。
覚えていなくとも、生きては来れたけれど――
心の隅でどうしても気にかかっていたそれが、思い出屋の話を聞いて足を運ばすにいられなかった理由でもあった]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了