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あー、諸君、聞いてくれ。もう噂になっているようだが、まずいことになった。
この間の旅人が殺された件、やはり人狼の仕業のようだ。
当日、現場に出入り出来たのは今ここにいる者で全部だ。
とにかく十分に注意してくれ。
[ずかずかと近づいてくる足音。
お菓子の家のすぐ近くでそれは止まり]
壁が欠けてやがる。
このやろう、誰の仕業だ。
[男は、扉を開いて入ってくると、広間を見渡した。
しかしそこには人影がなく、物音一つしない]
ちっ…。
[舌打ちを残して家を出て行く。
外には空飛ぶ魚が何匹も浮遊していた]
[アーヴァインは、導かれるように*どこまでも魚を追っていった*]
[気がつくと、口の中が甘かった]
……なんだろう?
[薄ぼんやりと、ウエハースの味だけが蘇ってくる。
どうしたんだろう、とつぶやきながら、足はどこかへ向かう。
前方に、お菓子の家の煙突が見えてきた]
[空を飛ぶ魚の背からお菓子の家の屋根に降りると、空いた方の手で魚の腹を軽く叩く]
[魚が飛び去ると屋根に腰を降ろし、手にした黒い石を目の高さまで持ち上げる。噴出す黒いもやは...をすっぽり覆い尽くし、周囲の闇に*溶けていった*]
[ざざざ]
[ざざざ]
[よろよろと歩いた先で見つけたのは]
…おお。
こんなところに家があるとは。
一休みさせてもらおうかの。
[暗い森の中に佇む一軒の家。目の弱い老婆には普通の家に見えたか。邪魔するよ、と一声かけて中へと*入って行く*]
[歩き疲れては休み、また歩き出すを繰り返し、いつしかたどり着いたのは小さな家。
壁に指をはわせると、溶け出したチョコレートがまとわり付いた。
指先をそろりと舐めてみた]
……あまい。
[観察しながら家の周りを一周して、ビスケットの扉を開く。
テーブルの上には、明かりの燈ったランプが置かれていた。久々のまばゆい光に少女は目を細めた]
[いつの間にか、虫のように光に引き寄せられて、傍らの大きな木製の椅子に腰を下ろしていた。
膝を抱え込んでランプを見ているうちに、徐々に瞼は重くなり、やがて*闇をもたらした*]
[森の中を歩いていると目の前を魚が横切った]
魚だよね…浮いてる…
[空を泳ぐ魚を追いかけていくと、たくさんの魚たちが集まっている一軒の家の前にたどり着いた。かわいらしい家の煙突からは煙が出ていた。]
誰かいるみたいね。行ってみよ。
こんばんわー。
[中には人の姿はあったが寝ているらしく、返事がない。あたたかい家の中に入り、歩き回った疲れがでてきたらしく、ソファに腰を下ろす]
うわぁ。これフカフカ。マシュマロかな。
[壁を伝い家の奥から姿を現す]
随分と甘い匂いの立ち込める家じゃの…。
台所に菓子でもあるのかと思ったがそうでは無いようじゃし…。
壁の質感も何やら不思議な感じじゃのぅ。
[壁を触って確かめながら広間へと歩を進める。ランプに照らされる室内。目の弱い老婆にも明かりだけは認識出来る]
おや…誰か居るのかい?
[薄っすら瞳に映る人の影。しかし呼びかけに対する返事は無い]
はて…最初に来たときは誰もおらんかったはずじゃが…。
人形の類も無かったはずじゃがの。
[物音にやおら目を開くと、ソファーで眠る少女と、佇む老婆が目に入った]
おはようございます……。
[他人というものに会うのは何日ぶりなのか、どうにも人の存在に違和感を覚えてしまっている自分に苦笑した]
おや、人形ではなかったようだね。
おはようだよお嬢ちゃん。
[皺の刻まれた顔に柔和な笑みを浮かべ]
わしの言えた義理じゃあないかもしれないが、お嬢ちゃんはどうしてこんなところに?
「どうして」?
[問われると、鸚鵡返しに言葉をなぞり]
歩いていたら、この家があったから。
歩いていたのは、……何でだったんだろう?
[抱え込んでいる両脚は、少女がどれだけ歩いていたのかを語るだけの疲れを孕んでいる。
けれど、思い出せるのは「まっくらな森を歩いている」ところからで、それ以前などというものは存在しないような感覚に陥っていた]
ここは、おばあちゃんのおうちなの?
そうかい。
わしと似たようなものじゃな…。
ここはわしの家ではないよ。
わしもこの森に迷い込んでしまってな。
いつこの森に入ってしまったのか分からんのじゃ。
[やれやれ、と前に置いた杖に凭れて溜息を吐いて]
延々歩いておったからすっかり疲れてしまったわい。
そうなの……。
[落胆が臭う声音でそう言うと、窓の外に目をやった]
どうして、魚が空を飛んでるんだろう。
昔からこうだった?
[静かに静かに呟いて]
昔なんて、あった?
[涙を零す様子に、よっこいせ、と椅子から下りて少女に近付き]
わしの老いぼれた記憶からすればこの森は無かったはずなんじゃが…。
しかしわしの記憶も危ういかもしれん。
普通の森ではないことは確かじゃがの。
そんなに悲嘆にくれるでない。
ここに居るのはお嬢ちゃん一人ではないのは確かなんじゃから。
そのうち何かしら対策が見えるかもしれん。
[少女の頭に手をやって、落ち着かせるように撫でてやる]
[老婆の手のあたたかさに、目を細めて]
怖いとか、そういうんじゃないの。
ただ、ちょっとだけ、さみしい。
[次の涙があふれることはなく、少女は鼻をすすって息を吐き出した]
ありがとう、おばあちゃん。
寂しいか…無理もあるまい。
婆で良ければ今しばらく傍に居てやろうぞ。
[顔の皺を深めて笑みを浮かべ。少女の傍の椅子に座る。しばらくの間あやすように背中をぽんぽんと叩いてやる*ことだろう*]
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