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[散り散りだった欠片達が、僅かばかり繋がり始めれば、今一度ふたりへと向き直る。]
…ごめんなさい!
[何度目の謝罪か。
勢いよく下げた頭と反比例する髪が、ふわりと跳ねあがる。]
私…急がないと…!
このまま、真直ぐ。
必ず、辿りつけますからっ…
[優しく接してくれた二人に、焦燥感を隠す事すら出来ず、半ば叫ぶようにしてそう告げると、スカートの裾を翻して薄紫の中へと駆けだした]
……お礼も……
言いそびれた…っ
[切迫する呼吸の中、一人ごちて]
………はぁ …っ……はぁっ
[元々苦手な上に、不安定な足元。一歩一歩に息が切れる。
どうしてあの時、思い出さなかったのだろう。
……ううん、そうじゃない。
本当は……――]
……どうして…… はぁっ……
[髪を跳ねさせながら、もうだいぶ来たはずなのに、辿り着けない。]
この辺りのはず、なのに…っ
[拒絶、されて、いる?]
………
[耳奥に届いた声は、確かに言った。
『具合が悪そうだった』
その言葉に拓かれた記憶は、幼い頃の…。
思い違いならば、それで構わない。
でも、そうで無かったとしたら…?]
(どうして?さっきは呼んだのに…)
[重くなっていく足で懸命に地面を蹴る。
けれど、すぐ近くであるはずのその場所には、届かない。]
(私が…迷っている、から?)
[薄紫の迷い道。
記憶と、想いは行き違い、触れ合っては、また離れて。]
何処なの? ……くん!――
[駆けながら発すると同時に、足をとられて身体がふわり、一瞬宙に浮いて。
倒れ込んだのは咲き誇る藤の根元。]
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