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うん。
[返事は短く、ただこくんと頷いた]
いない。ずっとすれ違ってるのかな。いませんでした。
家に帰ったなら、帰る前に言うよね。……じゃあ、どこだろう。
[途方に暮れたような声でそう言った]
[メイの視線につられるようにマキを見やる。]
おはよう。また会えたね。縁があるみたいだ。
……マキは、ウェンディがどこにいるか知りませんか。
[視線をスノウに向けて]
うん、黙って帰ったりはしないよね・・・・・・。
あたしも探すよ。スノウ。ね!
[ウェンディにしたように、頭をぽんぽんと叩いて。
スノウがマキに質問すると、自分もマキに視線をやった。]
戻る術を・・・・・・?
[マキの呟きが聞こえ、いぶかしむ]
ここでは、よくあることぞ。
長い夜は、不思議な力を持って何かを吸い寄せる。
一夜の魔法が、次元の壁を飛び越えさせる。
[呪文を唱えるように、訥々と言った。]
・・・・・・。
・・・・・・ウェンディ。
[思わず絵に触れそうになる。
二匹に背を向けた姿勢なので、その表情は分からないだろう。
背後から、呪文のように話すマキの言葉が聞こえてきた。]
うん。ありがとう。
[ぽむぽむと頭を優しく叩かれながらくりくりの目でメイを見つめ、そして再び小さく首肯して言った。ほのかに安心したのだろう、一瞬だけ声が和らいだ。それから、マキが尾で示した絵に目を移して――。]
ウェンディ。
[ぬいぐるみがかすかな声をあげた。悲痛な声だった。じっと絵を見続けながら、マキの説明を聞いていた。]
[暫く絵のほうを向いていたが、マキとスノウを振り返った。
スノウの悲痛な声に、悲しそうな顔をする。]
確かに長い夜・・・・・・だね。ちょっと・・・・・・変。
よくあるって事は、・・・・・・明けるんだよね?夜。
[メイの背中から漂う不思議な空気も、苦しげなスノウの声も、マキの思考を揺らしたりはしない。]
明けない夜はない。
夢が覚めれば、ネズミは動きを忘れて井戸端に固まる。
ウェンディがどうなるのかは知らぬ。
そっか・・・・・・。
[マキの言葉を聞いて、見つめるような視線をどこかに向ける。]
・・・・・・マキとスノウがそういう存在ってことは、ちょっと思ってた。
[抱き上げたスノウをぎゅぎゅぎゅと抱きしめた。]
でもそれは、一夜の魔法が解けるって事よね?
じゃあ、どうなるかは分からなくても、ウェンディは戻ってくる可能性も、あるって事だ。
誰が、いつ、どこにいるのか、どこへゆくのか。
私は知らぬよ……。
[低い声は、夜の美術館に微かに響き、その静けさを強調する。]
メイも、待っているのか?
[マキの言葉を聞いて、漠然と理解する。そうなんだ、と。どこか得心したように言った]
じゃあ、戻るのかな。
うん。きっと戻る。良かった。
でも、たぶんぼくたちとは入れ替わりだね。それは残念だ。
[そこまで話した時、メイにぎゅうぎゅうと抱きしめられた。ありがとう。優しいね。大丈夫だよ。とスノウが言った。きっとメイの待ってる人も戻ってきます。とも。]
[この場で、言ってはいけないと思える一言が、マキの中で存在を大きくする。
それを押し留めようと、ぺたり、両手で頬のあたりに触れ、撫でた。]
願いはいつか叶うよ。
私がここで歩いているように。
カツン、カツン。
[噴水のある広間の方から硬質な靴音が響いてくる。絵画セクションの入り口手前で靴音は止まり、闇の中で何かが光った。
と、暗がりからばらばらとコインが散らばり出した。水に濡れたコインは夜の美術館の非常灯の光をぬらりと反射しながらあるものは倒れ、あるものは絵の前に集まった皆の足元まで転がっていった]
[スノウが何か納得したように言葉を紡ぐのに耳を傾ける。]
・・・うん、きっと。
・・・・・・スノウこそ、優しいよ、それ。
うふふ。あたしは・・・・・・あたしは優しくないんだよ。
それにあたしが待ってる人は、待ってても来ないんだ・・・・・・ふふ。馬鹿みたいだって、分かってるのに、ね・・・・・・。
[呟きながら、涙で瞳が揺らいだ。
マキの言葉に、ありがとうと小さく呟く]
[ぱたぱたとコインが倒れる音に誘われるように暗がりから男がぬっと歩み出る。両手をおどけたように広げて見せながら、二人と二匹に足を向けた。
徐々に歩速を上げながら、
メイの顔を覆うように右手を伸ばした]
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