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ボデ…、ィル!
この恥知らずの密告徒ッ
裏切り者めうらぎりめ。
俺は、お前に復讐する為なら、何者にでも…──ッ
[押さえ込まれ、首には罪の鎖。
だが、化け物の異様な力で仇敵の胴に抱きつく。ただただ男を海へ引き摺り込もうと。
故郷の家の暖炉脇のあたたかな光景が甦る。しがみつくヘイノの両手はすでに──体温を感じるてのひら、では無く*。]
殺す、者…?
[薪の男の言葉を、繰り返した。
誰を…?彼女を…?浮かんだ疑問が口にする前に消えたのは、 赤毛の男の叫びのせいか、僧侶の笑いか、気狂い男の蛮行か。 あるいはすべてだったかもしれない…。ため息をついて、]
なぁ、あんた…。
…っ!?
[再び何かを口にしようとしたが、今度は海から現れた男に度肝を抜かれて、腰を落とした。
気狂い男が弾き飛ばされたのも視界に入っただろう。
口をぽかんと開けて、二人の経緯をただ見守った**]
乾くことなき海草の髪、
凍える水底の眼差しの邪悪なる溺死体……、
ああ、
[男の唇から零れるは、納得したといった風な頷き。
檻の傍らの喧騒に視線を留めたまま]
ドラウグ、だ。
……そうだろう?ラウリ君?
[水底にあるはずの名を、読んだ]
[ひとつの境界を越えた者、
その目に生と死の境界は酷く曖昧で、
ヒビ入った眼鏡も、見える を防ぐに効果は薄い]
ああ、死人に声をかけるつもりはなかった。失敬。
死人というものは絶対的無力であるべきだよ。
[学者は変わらず観察者であり、
聞くもののなくとも饒舌に語り続ける]
死というものは、絶対的支配だ。
死から逃れようと願うは、人として当然の姿だ、だが抗って尚逃れえぬ。
足掻くさまは、実に、
[こくり、と喉を鳴らす男の、昂揚の気配。
また遠からず死は訪れるだろう。
鎖が絞める、糸が首を掻き切る、銛が肉を裂く、斧が叩き割る。それを為す己の夢想に下肢に熱の篭る。
やがて、ず、ずと重石を引き摺って網小屋の男の傍らに]
殺さねば、確実に死ぬよ。
[託宣の如く告げる、気まぐれ*]
なっ…!?
[遠くから何か重い物引きずるような音が徐々に近づき、桟橋手前から聴こえてきた託宣めいた声に
一瞬驚きの声をあげた、が。]
…っなこた、知ってるさ。
やらなきゃ、やられるんだろ!
[桟橋手前に立つ、ヒビの入った眼鏡の奥を見返し、
叫ぶ。]
俺だって、知ってるさ…。
[ただ手をこまねいているだけでは、何も変わらないことも。今のままでは決してつかめない…。]
…知っているさ。
[思わず両手で握りこぶしを作った。
なのに何故…。
そんな自問は飽きるほどに繰り返してきた。今更だ**]
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