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[ひょい、と戻ってきて顔を覗かせて]
モミジさん。
俺、サンダルに靴下はおばさんぽいからやめた方がいいと思うよ。
[言った*]
[踏み出した瞬間、あおい色が視界を過ったような気がしたけれど]
[迷う事無く、進む]
[一歩、二歩、進む足元はどこか不確か]
[変化は三歩目──かさり、と草の鳴る音が、耳に届いて]
…………。
[そのまま数歩、歩いたら]
[手に、良く知る感触が、現れた]
[消えた瞬間に、手にしていたもの──愛用の、弓]
……これ。
[それが手にある、という事の意味]
[耳に届く、風の音、遠いざわめき]
[それらに様々、思いめぐらせつつ、弓を構えて弦を引く]
[鳴弦の音が、祠の周囲に響いて、消えた。**]
……ま、あれだ。
多分、こっちくい終わる前に溶けそうだから。
良かったら、くってけ。
[軽い口調で言いながら、ずい、と差し出して]
このまま溶けて無残にするなら、その方がいいからなー。
[けらり、軽く笑った。**]
サンダルじゃなくてミュール!
ミュールに靴下が合わないのくらい解ってるわよ!!
足痛いんだからしょうがないでしょ!!
[まだ20代と言うのもあって、おばさんとの表現に過敏に反応した*]
― いま ―
[靴擦れ予防にはと口を開こうとして、
何路線を目指そうとしたのかわからない絆創膏の貼られたモミジの踵を見るわけだが]
おおっ!?
[大きくなって返ってくる声に、たじろいだ]
あ、いや、ええと?
[なにか地雷を踏んだらしい。
だが、当然のことを口にした以上の心当たりを思いつかない男は、目を白黒させるだけで]
あ、うん。
[頷く]
いってきまーす。
[退散を決め込んだ*]
……ったくもー、もっと言いようあるでしょうがっ。
あーもー、珍しくオシャレしようと思ってミュール買ったけどさぁ。
履き慣れないわ歩き難いわ靴擦れ起こすわ散々だわ。
挙句にサンダル呼ばわりとかなんなの。
そりゃあ私はお淑やかでも何でもないわよ。
家に引き篭って物語書いてるだけだし、ヒッキーもいいとこだわ。
お爺ちゃんがお婆ちゃんみたいになって欲しいって同じ名前つけてくれたけど、私生まれる前にお婆ちゃん死んじゃってるからどんな人だったか分かんないし。
同じ誕生日で同じ名前にしたからっておんなじようには育たないわよっ。
私は私だっつーの!
[零れ落ちる文句は段々と明後日の方向へ]
― いま ―
[最大ボリュームの追撃に、つんのめりそうになりながら]
さすがモミジさん。
[ぽり、と頭を掻いた後、とこらえきれずに笑う]
女子力っていうか、
女性らしい、とは思うけどね。書いている本とか。
[明後日の方向へと続いている文句は耳に届かないから、
安心してつぶやいた*]
[どうにかこうにか、アンと、それからケンの顔を見て理解する]
おかえりなさい、ですかね。
少しだけ、あなたたちより多く年を取ってしまいましたよ。
─ 2014年 夏祭り ─
え、ケン君それ二つとも一人で食べるの?
お腹壊さない?てか溶けちゃわない?
まぁでも待ち合わせじゃないなら良かったー。
アン探してたんだけど見つからなくてさ、ちょっと今動きたくなかったんだよ〜。
あの子携帯持ってないから連絡つけられないしさ〜。
はぐれた時用に待ち合わせ決めとけばよかったんだけど、決める前にいなくなっちゃってー。
ね、ケン君。この後暇だったらだけど、アン探すの手伝ってくんないかな〜。
お礼になんかおごるし、ほら、アンと合流できたらケン君両手に花だよ?
─ 2014年 夏祭り ─
と…え、いいの?
イチゴも食べたかったんじゃないの?
や、私も暑いし食べていいなら喜んでもらっちゃうけど。
…あー、うん。
折角冷たいのが溶けちゃうのは勿体無いね。
んじゃ遠慮なくもらっちゃう。
えへへ、ありがとねー。
しかしカキ氷のシロップってしっかり色ついちゃうよねー。
私ブルーハワイ好きなんだけどさ、あれってすっごい青になるじゃん、舌とかもろに。
その点イチゴはいいよね、唇赤になっても可愛いしー。
お化粧とか柄じゃないけど、口紅ひいてもらったりしたみたいじゃない?*
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