[硝煙の臭いがいやに鼻につく。鮮血が辺りをひとつ、ふたつとしたたり落ち、まるで雪に散る花のようだとどこか夢見心地で彼は眺めていた。]
逆恨み、ね。それにしては代償が大きかったかな…。
[弾丸をかわすことは、おそらく出来ただろう。しかしあえて受け止めることを選んだのは、この村を以前襲ったのは――]
ねぇ、これで気が済んだ? 気が済んだなら、そろそろ夜が明けるから。
僕は――…
[返事を待たない人狼は、最後に一つだけ笑みを落し。本来の姿へと姿を変え、村の外へと*消えた*]
気なんて済むわけないだろう。
[唇を噛み締めて堪えたが、涙があふれる。
首を小さく左右に振った]
死に様さえ見せられなければ、咎めたりしなかった。
[自分を正当化するような言葉を吐き捨てて、赤い地面にしゃがみ込んだ]