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[彼の瞳に微かな苛立ちの色を見て取り]
[あぁ、と音にならぬ息をついて、ゆっくりと立ち上がる]
……蛍川の二人は、許されぬ恋を嘆き、
来世で添い遂げることを誓って二人で川に身を投げた。
いまりちゃんは、『彼女』の加護を受けていた。
そして『彼』の加護を受けた者が、神隠しに遭った。
『彼女』は『彼』を追って、そして……。
「先生も、お気を付けて」
[丸林の老婆と同じ言葉を残し、その村人は去っていった。出入り口付近から診察室に戻り、椅子に座る。膝上にじっと視線を下ろし]
……神隠し。
[呟く声は、曖昧に]
そうか。それで、永遠の愛か。
神隠しと御縁との相互干渉とは。
……運命とは皮肉なもんだな。
二人の絆が変わらず、いつまでも共にあるよう、願ってやるといい。
[立ち上がった少女に、微かに眸を細めます]
―回想―
[程なくすれば、石木先生の姿も見えた。女性が3人会話しているのを眺めていれば、光野の声>>2:168]
すまんな。それだけしかないんだ。
それに、真っ白で横書きの便箋か…すまん、おいてない。
…もうちょっと品揃え良くしないといかんな。
[こういうことも考えなきゃいけんな、と、ちょっと反省中]
[次々に来店者も増え、ジュースやアイスが売れていく]
『…しかし、洒落で入れた味噌アイスがこんなに売れるとはな…』
[内心驚きつつも、会話を眺めていた]
[ぼんやりと歩く。
空をこんなに不安にも見つめたのは初めてだった。
人が消えることが怖いんじゃない。
忘れられることが怖いんじゃない。
できるなら忘れてほしい。
そうすれば幸せだから。]
神様なんていない…だって…隠すならわたしでしょ…。
[誰にも心配されない。
隠されたことに気付かない。
それは、死、でもなく消失。]
[口元微かに開いたまま、ほうけたように彼の顔を見つめる]
[目を細めた彼の表情]
[こくり、小さく頷いて]
……ありがとう。
私、神隠しの原因を探さなくちゃ。
御縁は私にも関わりがあるのだもの。
[静かな決意と共に告げる]
[そしてふと、落ち着きを取り戻したことで晴れた視界に映ったもの]
……怪我してる。
[彼の頬に、そうっと手を伸ばした]
[泣いてくれる人がいるならいい。
笑ってくれる人がいてもそれでもいい。
消えることに意味があるならそれでも構わない。]
――――――…。
暑い……。
[蝉時雨降る空。
あの空―――の。]
――――――…。
[空と太陽の関係のように。
いつかなれると思ったけど、やっぱり夢だった、と心の中で笑った。]
……触れるな!
[頬へと伸ばされた手に、思わず一歩下がり、身構えます]
[そうして、何とも言えない気まずそうな表情を向けてから]
祟りに遭う。
[小さな声で言うと、ふいと少女に背中を向けます]
―回想―
[一瞬、何が起こったかはわからなかった
さっきまでそこに居たはずの、光野とグリタの姿が消えている]
何が起こったんだ?
[床に散らばる金平糖と、真珠の耳飾。そして、金平糖はゆっくりと消えていく。
呆然と立ち尽くしていれば、石木先生>>8の声に慌てて落ち着きを取り戻す]
ああ。
[こくりと首を縦に振って、電話の場所を指し示した]
[彼の鋭い声と。その後の気まずそうな表情に、目を瞬かせて]
祟り。
[小さく、繰り返す]
[彼の背をじっと見つめて]
……あなたは、何を負っているの?
[尋ねる声に、怯えや躊躇いはない]
[去り行く女性3人に、気をつけてな、と声をかけて。一人、雑貨店に残っている]
神隠し…祟りねぇ。
[どうも納得しない表情で、店の奥に入った。
部屋の北側には、商売をやっている家には付き物の神棚が置いてある。安置してあるのは、もちろん神社のお札。
神棚を見上げて、つぶやいた]
うちんとこの氏神さん、祟るような神さんだったかなあ。
[まだ、イマリが消えた事は*知らない*]
[かたり、と音を立てて開いた扉に其方を見る。入ってきたのは、受付もやっている看護婦で]
どうかしたかね。……神隠し?
何だ、君もその話か。
[ふ、と小さく息を吐き]
ネギヤさんや……皆が消えたのは。
何か、別の原因があるのだろう。
大戦も終わって随分経った今、そのような話は、容易に信じられるものではない。
……目撃でも、しない限りはな。
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