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…………。
[青年の声をした──特定のモノにしか聞こえない、
その呟きを、男は、黙って聞いている。]
…………
[特に途切れた先を促す言葉はないまま、ただ、答えにあわせて、ちら、と青年に投げる視線だけが男がその声を聞いている証拠だった。]
― ??? いつかの回想 ―
『──ねえ。もう一回、聞かせてよ…』
[いつか。どこかで。
先ほどと同じように──まるで、違うように。
曲を聴いたことが、なかったか。]
『……ビ メイ……、』『──じゃないもん!』
[他愛もない風景。
そう。好きだった。好きだった。
好きだったはずの、あの曲が──…嫌いになったのは、何故?
今はもう、戻ることは*ないけれど*]
さあ。
[繰り返される拒絶の意思もつ言葉には、
やはり瞬きを返す。同じじゃないのか。と、
問いに、かく。と首を傾いだ。]
…… どうでしょう?
[よくわからない。と、男の声には熱がない。]
だって…。
[だって、と。
かつてもこのように、語ったことがなかったか。
返るのは沈黙、けれど言葉が届いていることは識っている。
──以前から。]
僕たちは…
[死んだ][殺された]
[──……が、死ねば良かったのに]
『また』殺されるために─…目覚めたわけじゃ、ない。
[言葉にすると、更に寒いようにぶるりと震えた。
そうして、熱のないもうひとつのモノへと視線を向ける。]
あんたさんよりゃ、
おれのが、長生きしてると思いますが──、
そいでも、わかんねえってことはあるみたいでね。
[ぽつぽつと、男は、自分のペースを保ちながら話す。]
たとえば、まあ、
…人様の心ンなかとか。
[呟きながら、足先に視線を落とし]
[視線を落とした先の足。ちろ、と陽炎じみて影がゆれて、]
…なんだって、こんなことになってるのかとかです。
[男の靴が透けて、その下の床板が見通せた。]
人の、心の中…?
[意表を突かれた風で、ふと口を噤む。
朴訥と語る口調、つられたように同じく足元に視線を落とした。]
──…ああ。
[自覚してしまえば脆いもの。
差し伸べた手の甲を透かせば、その向こうに相棒の姿が見えた。]
…まあ。
あんま、おれも、
殺されたくはないです。
[こちらを見る視線にそう答えるも、
やはり声に熱はない。]
人に殺されると、…こう。
無闇と、痛いんで。
[かく。と首を前に出して、
片手で、こり。と骨ばった首の背を押さえた。]
―厨房―
ヒューのおっちゃん、料理手伝いにきたよー!
ちゃんと人が食べられるモノできてるー?
げげっ!?
[1.野菜煮の郷土風鍋料理
2.コトコト煮込んだ即席シチュー
3.見た目こそ悪いものの普通の鍋料理
4.闇系の鍋料理
5.鍋料理という名のナニカ
6.新しい宇宙を創造してしまったモノ
{1}が厨房には出来ていたかもしれない**]
あは。
あはは。ははっ…。
僕たちにも、痛みはあるのかなあ。
あるのかな、隠?
もっと、もっともっと痛くて苦しいことが…?
[そして][冷たくて]
[────…かった]
──…陽(ヤン)
また、そう呼んではくれないのかい?
こんな村…こんな場所。
[思い出も。大切な……も。]
[これは、──チャンスだ。]
──すべて消えて、なくなってしまえばいい。
[呪詛のように、声が低く響く。
そうして、音を、全てを閉ざすように*目をとじた*]
………さあ。痛いか試す気にゃあんまならんです。
[男は、瞬きをし、青年の唇に浮かぶ、
仄暗い笑みを見ている。]
……
まあ。
[たぶん。と、その笑みから視線を避けるように、
床へと落とした男は、先を続けて]
あんたが、
もう──全部、消しちまいたい。ってンなら、
まあ。
[未練のあるもんもないですし。と、男は言い]
お手伝いくらいは……しますよ。
… 陽(ヤン)さん。
[生前と同じ──死人のような陰気な声で、
青年の名前を呼んだ**。]
―回想 集会所カーミラが逃げる頃プロ>100>101―
[見られている視線に気づき、気配を辿るとまた一人の女性。
何故か逃げるように消えていったのを見た]
・・・んむ? 一体何だろうね?
私の顔に何かついていたのだろうか。
それとも・・・? ・・・いや、あんな女性はやはり覚えがないな。
[微かに何かが頭をよぎったが、やはり何も思い出せない]
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