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[彼は、夢を見ていた]
[それは、彼が故郷にいた頃の――まだ口が利けた頃の夢]
父上。
[目の見えない老婆が籠に乗せられるのを見て、少年時代のクレストは父親に尋ねた]
あの方は、どこへ行かれるのですか?
[父は答える。“災いを鎮めに行くのだよ”と]
[その頃の少年はまだ知らない事だったが、彼の生まれ育った地域には、ある伝承があった]
[『身体の一部に欠損がありながらも生き永らえている人は、神の加護を受けている証であり、災いを退ける力がある』――…。
すなわち。
彼らは大切に扱われる一方で、その地に災いが降りかかった際には、生きたまま供物となる運命を背負っているのだ――]
[“だけどお前は鎮めてはくれなかった”]
[“お前が逃げたから、町は滅びてしまった”]
ちがう。
僕は。
逃げてなんて。
[しかし、その叫びは音にはならず、ひゅうひゅうと喉が鳴るばかり]
……ッ!!
[彼は飛び起きた。全身が、汗でぐっしょりと濡れている]
[……夢だ、という事は分かっている。父も母も、自分を死なせないために、この村に逃がしたという事も、知っている]
[そして、そのせいで故郷が――]
…………。
[彼は首を振った。じくじくと手術痕が鈍く痛む。手をやると、少しばかり腫れているようだった]
[風呂でも浴びてこよう、とベッドを出て、ようやく外が騒がしい事に気づいた]
[聞こえる声に、ゆるりと瞬いた]
……そう、だな。
それも、手ではあるが……
若い者が、死に急ぐでないよ……
[二人に言い聞かせるように囁く]
[どうして、ドロテアだったのか。
その問いに応える言葉は持たず。
案じる声をだすイェンニの肩を叩いた]
まあ、無事に、逃げられるだろうて……
[そうであればいいと、願う口ぶり]
信じてくれないかもしれないけど、
――ヴァルテリさんが、死に急ぐのも、いけない。
僕はそう思うよ。
[ゆるく、笑みを作る。俯いた顔の下、表情は見えない]
生きてなきゃね。
――大丈夫、ここにはおあつらえ向きに、人がそろってるじゃないか。
…はい。
わたくしは、死に急いだりいたしませんわ。
わたくしが死んでは、血肉となったドロテアの命までも無駄にしますもの。
それに、年若いとおっしゃりますけれど…わたくしは、年齢など関係なく。ヴァルテリ様も死なれては困ります。
[ヴァルテリの言葉には、力強く頷いてみせる。
死に急ぐことは、しない]
えぇ、逃げましょう、人狼を排除しようとするこの町から。
その為にはここを出ないといけませんが…
まだ、足りません、わよね?
[力が。
人を喰らって満ちる、その力が]
[簡単に身支度を整えて廊下に出る、と、むせかえるような酷い血の匂いに、思わず顔をしかめた]
[そして聞こえてくる、イェンニの叫びと嗚咽]
………。
[ドロテアの身に、何か大変な事が起こったのだ、と理解して、彼は彼女の部屋に足を向けた]
――ああ、ありがとう。レイヨ。
[小さく笑う。
二人の言葉にゆるりと頷き]
そうさな……
みな、生きてでよう。
そのためには――もっと、食らわねばの。
[到底足りぬ、と、イェンニの問いに頷いた]
……ドロテアが選ばれた理由はわからぬよ……
[供儀をえらぶ基準はきっと長老だけがしっている。
嘆く娘を慰める言葉を持たぬまま、ただその肩を宥めるように叩き。
廊下を歩く足音にレイヨがいる扉のほうへと視線を向けた]
また、見張るよ。
他の人、食べるといい。
――…ちゃんと見張っとくから。
終わったら、逃げないとね。
[自分は食べられないけれど、見張りくらいhできると
申し出をして]
ん、人が来た。
[小さく声を落とした]
[歩いてくるクレストに、視線を向ける。
扉の前、見せない方がいいだろうか、と。
立ち尽くしたまま、彼に言葉を投げる]
……見ない方が、良いと思、います。
[一応、控えめな静止の言葉]
ええ。
わたくしたちも――
収穫祭、になりますわ。
[少し、笑みを浮かべたけれど
続くこえに、頬を引き攣らせて引き締める]
[レイヨが言葉を向ける相手の、応じる声が聞こえない。
ならば可能性としてクレストかともおもいつつ。
死体を抱きしめるイェンニの頭をなぜて、傍を離れる。
死体から離れたほうがいいだろうが、今はいっても聞かないだろうと声に出すことはしない。
扉のほうへと向かえば、やはりクレストの顔が見えて]
ドロテアが死んだよ。
星読みは、やはり外れないようだ……
[哀しげにつげた]
[自分が、ドロテアの立場であったなら――そんな考えが、幻の父の罵声と共に過ぎる]
……。
[馬鹿な事を。そんな事を考えたところで、ドロテアが帰って来る訳でもなく、イェンニを余計に苦しめるだけだというのに]
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